「ロード・オブ・ザ・リング」有色人種起用に差別的攻撃 イライジャ・ウッドらホビット俳優が「どんな人種も歓迎」Tシャツでニッコリ
映画版ではほとんどが白人俳優だった。
9月2日からAmazon Prime Videoで配信開始されている、J・R・R・トールキン原作『指輪物語』のドラマ「ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪」。エルフやドワーフなどの種族に有色人種が起用されたことで、ネット上には差別的なコメントが見られるようになりました。それを受けて9月7日(現地時間)、“元祖ホビット”の俳優たちが差別を真っ向からシャットダウンする「どんな人種も歓迎」Tシャツと帽子を着用し、SNSに投稿しています。
今回、差別的なコメントから俳優たちを守るべく立ちあがったのは、2001年から順次公開され大ヒットした映画版「ロード・オブ・ザ・リング」3部作でホビットを演じた面々。
まず主人公フロド・バギンズを演じた米俳優イライジャ・ウッド、“ピピン”ことペレグリン・トゥックを演じた英出身俳優ビリー・ボイド、“メリー”ことメリアドク・ブランディバックを演じた英俳優ドミニク・モナハンが、「どんな人種も歓迎」とエルフ語で書かれたロゴといろいろな肌色をしたエルフの耳が描かれたTシャツを着用した3ショットをそれぞれのSNSに投稿。
3人に続いて、フロドの忠実な従者であるサム役の米俳優ショーン・アスティンも、同じデザインの帽子を被り、当該画像をやはりSNSに公開しています。
なお、このTシャツは同作に対する差別的コメントに辟易したTikTokerのドン・マーシャルが制作したもので、Tシャツと帽子以外にもさまざまなアパレル用品が制作/販売されています。
また、同作の公式アカウントも一切の人種差別を許容しないとする声明を発信。SNSにテキスト画像を投稿し、差別やハラスメント、有色人種のキャストらへの暴言に反対し、連帯して立ち向かうと明言しています。
同作公式は、「トールキンは定義上、多文化世界を創造しました。その世界で、異なった人種、文化の自由な人々が、悪の力を打ち負かすため共に力を合わせており、『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』はそれを反映しています。私たちの世界は白一色ではない。ファンタジーも白一色ではない。中つ国だって白一色ではありません。マイノリティ文化は中つ国にあるし、そこに留まっています」と、原作者トールキンの創造した指輪物語の世界には多様な人種や文化が存在していると指摘。
さらに「ファンダムに存在するだけで攻撃されている」という有色人種のファンにもメッセージを送っており、「あなたたちのコスプレ、動画、ファンアート、洞察力がこのコミュニティをより豊かにし、私たちの目的を思い出させてくれます」と深い感謝と親愛の意を示しました。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」3部作ではほとんどのキャストが白人で構成されていたのに対し、同作では多くの種族に有色人種の俳優を配役。そのことを「作品世界を壊した」「本物ではない」と解釈する人が存在しており、有色人種である俳優たちの多くが人種差別的で悪質なコメントに晒されていると告白。
同作でエルフを演じる最初の有色人種となるアロンディア役のイスマエル・クルス・コルドバは、米Esquire誌とのインタビューで、SNSのDMで2年前からほぼ毎日「純粋で悪質なヘイトスピーチ」を受け取っていると明かしていました。
また初の女性ドワーフ役として抜てきされ、ディザを演じるソフィア・ノムヴェテは米ニュースサイトThe Daily Beastとのインタビューで「有色人種は存在します。ですから、ファンタジーの世界に有色人種は存在しない、できるわけがないというのはまったくもって狂気の沙汰ではないでしょうか」と答えていました。
なお一部の人は、原典に「エルフの肌は白かった」という描写があったと主張しており、記述の有無や原文の解釈を巡っての論争が目下繰り広げられています。
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