社員全員にITパスポート取らせよう → じゃあ経営陣も ちゃんと合格したさくらインターネット社長が話題に、社内の反応を聞いてみた(1/2 ページ)
社長自ら見本を示しました。
レンタルサーバなどさまざまなインターネットサービスを提供するさくらインターネットの田中邦裕社長が、社員全員にITパスポートを取得させるため自ら試験を受け合格した様子を公開し話題になっています。取得後の社内の反応など、話を聞いてみました。
1月の役員会で、社員全員にITパスポートを取得させようという話が出たさくらインターネット。この中で、それなら経営陣も全員取るべきとの結論にいたり、さらにそもそも社長も取るべきではと話が広がっていきました。
これを受け田中社長は、逃げることなくちゃんと試験を受けることに。結果、1000点満点中600点で合格のところ、870点で合格しました。ツイートでは、「舐めてると落ちますよと言われて、確かに忘れている単語とかも多くてヤバかった。まぁ、何事も経営からやれってことで」と試験の結果を振り返っています。
この結果にリプライ欄などでは、「率先垂範素晴らしいですね」「安心して貴社のサービスを利用できます」「テクノロジー系が一番スコア高いあたりが、さすがさくらインターネットの社長さん」「こういう話の成り行きになる役員会は良いですねぇ」といった声が寄せられました。
社長自ら示したこの行動に、称賛の声が多数寄せられたこの投稿。田中社長に、試験を受けたことに関する話を聞いてみました。
―― どのくらい勉強しましたか。
田中社長: 火曜日に役員会で話が出て、その週の日曜日にしか試験会場が空いてなかったので、勉強の時間は取れませんでした。ただ、試験の過去問題は事前に目を通して、少し解答練習はしたので、ぶっつけ本番ではなかったです。
テクノロジーは満点取れたかなと思ったのですが、あの点数だと2点間違っていて、いまだにどれだったのかが気になっています。あと、開発工程についてはあまり知識がなかったので、何問か全く分からないものもあり、勉強しなきゃいけないなと感じました。
―― あらためて学んでみて、近年より求められるようになったと感じるIT知識の傾向について聞かせてください。
田中社長: 試験は、コンピュータの基礎知識だけでなく、近年の新しい技術にフォーカスを当てるとともに、コーポレートガバナンスやCSRなどの今どきのトレンドも網羅されており、幅広い印象でした。
そのため、傾向としては、技術がいくら分かっていても、それを使いこなしたり、ビジネスにしたりできないといけない内容なのかなと感じます。
―― 社長がITパスポートを取得した後の、社内の反応を教えてください。
田中社長: 社内の反応としては、「資格取らないといけないの?」というものから、「せっかくだから取りに行くか」といったものまでまちまちでしたが、ツイートが予想以上に拡散されたので、本気度が上がった人もちらほら見掛けます。そもそも大半の役員がすでに試験を申し込んでいて、やっぱり社長がやんなきゃいけないよなと感じました。
なお、もともと社風として、ITリテラシーの低い人には合わせず、むしろ分からない人に皆んなで教えて、リテラシーを高くあろうとしていますし、自社サービスが大半で多くの人がサービスに関わり、かつ上場しておりISMAPやISMSなども取得しているので、ITパスポートの試験範囲は財務と経営以外はだいたい分かるんじゃないかと思います。ただし、半分以上がITエンジニアの会社なので、登録セキスペ(情報処理安全確保支援士)や上位の試験合格者も多いので、ITパスポートを必須化する必要があるのかどうかは検討課題です。
―― 他の役員もITパスポートを取得したのでしょうか。
田中社長: 取得していない役員は取得する予定です。最高情報セキュリティ責任者と最高情報責任者を兼任している役員の江草がデータベーススペシャリスト、ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリストといった上位資格を取得しているなど上位資格を取得済みの役員もいます。
―― Twitterの反響についてどう感じられましたか。
田中社長: 私自身、IPA(ITパスポート試験を実施している情報処理推進機構)において未踏のプロジェクトマネージャーをしていますし、ソフトウェア協会の会長でもあるので、試験についての政策的意義や目標なども分かっていますし、全経営者がとるべきだとも考えてきたので、ツイートが広がり経営者こそ勉強すべきだという意見が増えたことは、IPAの試験制度のプロモーションとしてもありがたいことだと思っています。結果として、自社の社員に対するメッセージだけでなく、上場企業も含めた全経営者に対するメッセージになった事がうれしいです。
余談ですが、経産省の方が私のツイートを見て、経営者からやらなきゃ行けないから、本当に良いことだと言ってくれていた、と人づてに聞いたときはうれしかったですね。
これからは、自社の社員だけでなく、財界の大手企業経営者にも会合などで訴えかけていきたいですし、スタートアップ経営者にも投げかけていきたいなと考えています。
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