KADOKAWA「角川容疑者への過度な忖度」五輪汚職の原因 夏野社長「忸怩たる思い」企業風土の指摘受け(1/2 ページ)
問題が起きた背景には、主な原因として「(角川容疑者への)過度な忖度」「企業風土」「組織構造」の3つが挙げられると言及。
KADOKAWAは2月2日、東京五輪をめぐる前取締役会長 会長執行役員の角川歴彦容疑者らの贈賄容疑を受け、今後の取り組みに関する記者会見を実施。代表取締役社長の夏野剛氏は冒頭で、「当社への信頼を著しく裏切ることになってしまったこの事案について、かつ多大なるご心配とご迷惑をおかけしていることをあらためてお詫び申し上げます」と頭を下げました。
ガバナンス検証委員会 委員長の中村直人氏は本事案について、「東京五輪のスポンサーに安い値段でなりたいと依頼して、対価を払ったことが不適切な行為とみられます。また、社内の決済手続きでも逸脱行為がありました。これらが今回の核になる不適切な行為です」と問題点を総括しました。
このような問題が起きた背景には、主な原因として「(角川容疑者への)過度な忖度」「企業風土」「組織構造」の3つが挙げられると言及。KADOKAWAには角川容疑者へ意向が反映された「会長案件」が存在し、社内ではそれに異を唱えることが困難だった、などと説明しています。
夏野氏は「適切なガバナンス体制の構築については、私が社長に就任する以前から、(あるいは)社長に就任して以後も、当社として非常に大事に取り組んできております。今回報告書で指摘されたのは本当に忸怩たる思いがあります」と反省の弁を口にしました。
報告書の内容と現在では異なる点もあるとし、「内部通報窓口の設置をはじめとする通報しやすい環境の整備もすでに進めています。私自身が全社員に向けてのメッセージの発信も頻繁にしており、私自身への提言やクレーム、不満に思うことを社員から直接受けるような窓口も設けています」などと改善点をアピールしています。
また、KADOKAWAは2月2日付けで、取締役会の経営への監督機能を強化するため、監査等委員会設置会社から指名委員会等設置会社に移行し、取締役の過半数を社外取締役とする意向を示しています。加えて、経営改革推進委員会を設置することで、ガバナンス検証委員会の提言に対応していくことも発表しました。
夏野氏は「今回のような事案は2度と起こしてはいけないと痛感しております。今回、指摘を受けた事項の1つである企業風土は長い年月かけて作られるものであり、形だけの制度改革では一朝一夕に改善されるとは思っていません。なによりも大切なのは当社の役職員が一体となって粘り強く、さまざまな形で検証を重ね、そして改善に向けて取り組むことだと思っております」などと決意を語りました。
なお、記者からの会長職の今後についての質問に対して、夏野氏は「役職そのものを廃止するのか、将来にわたって必要ないのかという議論にはまだ至っておりません」としつつも、現在は会長の候補者が存在しないため、「当面は会長はいないということになると思います」と話しています。
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