前日まで元気だった愛犬との突然の別れ 「弱る自分を飼い主に見せたくなかった」親不孝犬の優しさが胸に迫る
「ペットロスとの寄り添い方」第7回はコーギー・きいろちゃんです。
多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2022年、全国47都道府県に在住する20~69歳の男女5000人を対象に実施された「ペットに関する調査(2022年)実態編」では、「困りごと・気になる点」として「死なれるのがつらい」などの理由から「ペットロス」が上位にあがる傾向にあると発表されています。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。
そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第7回 飼い主・まるさん/コーギー「きいろ」ちゃん
―― きいろちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
まる:ウェルシュ・コーギーの女の子で、愛称は「きいちゃん」です。知人宅で生まれた子をもらいました。
きいちゃんとの思い出で特に印象的だったのは、知人に大きめの白菜をいただいたときのことです。いただいた翌日、ミルフィーユ鍋をするべく仕事終わりにお肉を買って帰宅したのですが、きいちゃんが白菜を3分の2ほど食べていました。おなかがパンパンでした。
―― きいろちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
まる:きいちゃんは13歳で虹の橋を渡りました。年齢の割には元気だし、よく食べていたので、「なぜ?」という気持ちしかありませんでした。とてもかわいい子だったので悲しく、つらくて仕方なかったです。
その日はきいちゃんの顔を見ながらひたすら泣きました。お空に返したあとも家族と楽しかった思い出や、どれだけきいちゃんはかわいいかを延々と語り、つらさを紛らせました。
朝方に息を引き取ったので、その日にはきいちゃんのスペースを全て片付けたのですが、それでよかったと思っています。持ち主がいないのにそこに道具があるのはつらすぎるからです。
きいちゃんは息を引き取る前日まで好きなものを食べていたので、やせ細ったり、フラフラになったりなどの老いを感じさせませんでした。私にとって“かわいい、かわいい妹”のままで送れてよかったと思っています。
―― 現在の心境を教えてください
まる:まだまだつらいです。13年間一緒にいたので、生活の全てに「私が立つと、ここであんな顔していたな」「この道でかわいい後ろ姿を見せてくれていたな。だけど、お耳は私のほうに向いてたな」といった“きいちゃんの残像”があります。
この悲しみはしばらく癒えることはないと思います。だけどメソメソしていたら、きいちゃんが悲しい顔で「どうしたの? 大丈夫?」と私に視線を送っていそうな気がするので、我慢しています。
―― きいろちゃんに伝えたいメッセージ
まる:きいちゃんがおうちに来てくれたときからずっと、「いつかは別れが来る」と分かってはいたけど、あんなに元気でごはんも食べて、笑顔を見せてくれていたから、今、近くにいなくて寂しいよ。体調が悪くなって、すぐに旅立って……親不孝犬だよ、きいちゃんは。
だけど、きいちゃんはしっかりしていたから、老いや弱る自分を私たちに見せたくなかったんだよね。分かるけど、たくさん甘えてくれてよかったんだよ。
最後はつらかったね、ごめんね。今はどうしてる? おやつ食べて、ごはん食べて、気が向いたらお散歩してる? ママはきいちゃんのかわいいあんよと、大きなお耳美人なあなたをナデナデしてあげられなくて寂しいよ。
いつかまた会えるかな? ちょっと長いね。私のこと忘れないでね。またきれいな桜を見に行こうね。おやつはたくさん持っていくからね。
(了)
「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する、生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。
また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。
ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
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