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さらば、そして…… 「ULTRAMAN」FINALシーズン、神山健治×荒牧伸志が紡いだ「ウルトラマン信仰」の行方インタビュー(1/3 ページ)

シリーズを締めることの難しさを「ある意味不可能」と回顧した神山監督。

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 Netflixでアニメ「ULTRAMAN」FINALシーズンの配信が5月11日からスタートしました。


デュワッ!

 原作は、『鉄のラインバレル』でも知られる清水栄一さんと下口智裕さんの同名漫画。円谷プロダクション製作の特撮テレビドラマ「ウルトラマン」から時がたった後の世界を舞台に、かつてウルトラマンと同化した早田進の息子・進次郎が強化スーツをまとい、等身大の戦士として戦うストーリーです。

 アニメは、「攻殻機動隊 SAC_2045」も共同監督得を務めた神山健治×荒牧伸志コンビによる特撮感あふれるフル3DCGアニメとして、シーズン1(全12話)が2019年、シーズン2(全6話)が2022年に配信されました。

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 原作が続く中、FINALと銘打ったアニメシリーズは、原作に沿いつつ、神山×荒牧両監督によるストーリーが紡がれています。メインPVでエドが語る「ウルトラマン信仰を殺すこと」「厄災となったウルトラマン」などの言葉が象徴するように、骨太のストーリーで、さらには、初代ウルトラマンに連なるストーリーと読むこともできるものとなっています。

アニメ『ULTRAMAN』FINAL -Official Main Trailer-

 これまでも折に触れて神山×荒牧両監督にインタビューしてきたねとらぼですが、FINALシーズンを作り終えた両監督に、あらためて作品を振り返っていただきました。作品を観る前でも観た後でも、新たな発見につながる内容です。


神山健治×荒牧伸志両監督に聞く「ULTRAMAN」FINALシーズン

レナ推しのFINALシーズン、その理由

―― 「攻殻機動隊 SAC_2045」でお2人にインタビューさせていただいたとき、プリンについてお聞きしました(関連記事)。神山さんが「作品のテーマを描く上で必要とされたために生まれたキャラ」とお話されていて、そのときは分からなかったのですが、作品を観終えるとふに落ちました。アニメ「ULTRAMAN」FINALシーズンでは、佐山レナ、それとMARIESUITがそのポジションに当たるように思います。ただ、シーズン1のときにはこうなるとは予測していなかったのではないでしょうか?

神山 全く予期していませんでしたし、FINALシーズンに取り掛かろうという絶妙なタイミングで原作にMARIESUITが登場したのを見て「そっちにいったかー」と。レナは進次郎らと違って当事者ではないからこそ、目線も含めていいヒロイン、のつもりで描いていたので。必然的にFINALシーズンに出すことになるとは思いましたが、びっくりはしました。

荒牧 僕もあれはすごく意外で、「そっちに?」って正直思いました。でも、その線でやるからには全力でやろうと、FINALシーズンでは変なてらいもなく全力でレナを推す方向性になりましたね。

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 原作の清水さん、下口さんとはいいコミュニケーションが取れていたので、任せていただけた部分も多く、物語の再構成も意外と快く受け入れられました。個人的にはシーズン2から原作と少し離れたと感じる部分もあるのですが、観た方に原作のポイントは押さえていると感じていただけるならありがたいです。

―― 原作は続いていますが、FINALと銘打ったアニメシリーズは何らかの結末に向けてストーリーを再構成されたわけですよね。

神山 はい。これまで、勝手にプロファイルしながらやってきた部分もあったんですが、アニメシリーズを締めるネタとしては、原作でも最初からフリがあった「ウルトラマンは宇宙における厄災」だろうと。ただ、清水さん、下口さんから明確な答えはいただけていなくて、何というか、「エドでいいのか?」みたいな逡巡はありました。

 あとは、進次郎のキャラクター。もしかしたら清水さんや下口さんが抱いている進次郎像と、僕が抱いたそれは違うかもしれない。もっと熱血漢だとおっしゃっていたので。原作1巻でナンパしようと思ってくじける進次郎が描かれているんですが、僕が最初に原作を読んだとき、進次郎のそういうところが面白い部分ではないかと考え、アニメではそれが強調されています。そういう意味では原作とちょっと離れちゃった部分かもしれませんが、僕としては寄り添ったつもりでやりました。

特撮の正しい継承 アニメ「ULTRAMAN」のアクション

―― モーションキャプチャーを使ったフル3DCGは、特にアクションシーンで特撮っぽさを堪能できました。

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荒牧 正しい特撮の継承の仕方だという感じはしましたね。

神山 作画のアニメもCGアニメもやった僕が一番感じるのは、作画のアニメで20分通しのアクションは、さまざまな事情でできない。CGは比較的にアクションシーンが得意で、楽ではないですがそれを最大限に生かそうとしました。

―― MARIESUITはどちらかといえば防御特化ですが、アクションシーンをもっと描きたかったですか?

神山 いや、むしろあれこそが描きたかったというか。

荒牧 出オチじゃないですが、変身することが一番おいしいキャラクターだと捉えて描きました。女性の描き方が問われる時代で、もっと何かやれよと思われるかもしれませんが、ドラマの中ではあれが一番はまった。実はすごく強い、みたいなのはないなと思ったので、そこは正しい位置に置いたつもりではあります。MARIESUITに限らず、シチュエーションをどう変えて、どういう戦いを見せようかというのは作り手の妙味です。

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神山 セクシーなキャラクターまで出てきたのもそういう理由だと思います(笑)。同じ特撮でも、戦隊やライダーはセクシー路線がまぁまぁあるけど、ウルトラマンではほとんどなかった。そういう意味では、スタッフも実は楽しかったはず。だからこそ、あれだけ面白いシーンになったのだろうと。

荒牧 バルキュア自体は、清水さんのアイデア。すごいなと思います。

 テクニカルな話ですが、フル3DCGでは、新しいキャラや背景を限られたコストの中で量産するのは難しいものです。そうした課題は現在でも根本的には解決されていないのですが、一つの見せ方として、苦手なことはやらない方向に収れんしていきました。

神山 昔の特撮アニメだと、「マジンガーZ」タイプというか、毎回同じ舞台に敵がわざわざやって来ていて、新しいセットはそんなに出てこないんですよね。ウルトラセブンあたりがピークかなと思いますが、特撮をやりながらドラマパートを分厚くしていくのは大変だったと思うんです。

 構造として、CGは特撮と似ている。作画のアニメだと、スーツのウルトラマンを出っぱなしにするのは大変ですが、CGアニメならやれる。そして、一度作ったものは、強度がかなり高い。一方で、1カットしか出てこないけど必要、みたいなものはCGアニメの弱点でもあります。今回、3シーズン作ったことで、どこが得意か、そして、苦手なところは見せる必要がないと見えてきたように感じています。

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