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水族館で水槽を掃除中に地震が発生したら…… 来館者のとっさの行動が「立派」「素晴らしい」と話題 水族館と来館者に話を聞いた(1/2 ページ)

石川県にある「のとじま水族館」らに当時の状況をインタビュー。

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 地震発生時、来館者の機転により、水槽に潜っていたダイバーが無事避難できた――。石川県にある「のとじま水族館」によるツイートに大きな反響が集まっています。ダイバーらと来館者に当時の状況をたずねました。

水中での作業中に地震が!!(画像提供:のとじま水族館

 5月5日の14時42分、石川県能登地方で最大震度6強(珠洲市)の地震が発生。「のとじま水族館」のある七尾市でも震度4の揺れが観測されました(石川県発表)。北國新聞デジタルなどの報道によると、当時、水族館館内にいた約1000人の来館者は高台に避難したということです。

 「のとじま水族館」公式アカウントの投稿によると、地震発生時、掃除のため水槽に潜っていたダイバーに、来館者がガラス越しにスマートフォンの緊急地震速報を見せたとのこと。とっさの行動により、無事避難できたダイバーは来館者にとても感謝していたといいます。

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 投稿には「お客様の素晴らしい機転ですね」「有事の際パニックになるのが常ですが、ご自身も危険と背中合わせの中相手を思いやれる行動。素晴らしいです」「あぁ、読んでると涙が 私もそんなとっさに動ける人でありたい」「この話を心にとどめて、少しでも自分の糧にしたいと感じました」など、感動の声や自分もそのように行動できたらという声が寄せられました。

 「のとじま水族館」と来館者のあもん(@AmonAran)さんに当時の状況などを聞きました。

水槽の水の中の流れに変化は感じなかった

 「のとじま水族館」の企画係長の高橋さんによると、5月5日はGW中で、こどもの日ということもあって多くの人が館内にいたとのこと。地震で揺れていても、来館者はスタッフの誘導、呼びかけに対して冷静に行動し、混乱などはなかったそうです。避難中に気分が悪くなったり、けがをした人もいませんでした。また、展示されている生き物にも異常や変化はなかったといいます。

地震があった当日に異常がないことを確認し、営業再開

 水槽は午後に清掃する決まりになっています。今回と同様、最大震度6強を観測した2007年の能登半島地震では地震発生が朝だったため、今回のように清掃中に大きな揺れが来ることはありませんでした。

日比野さんが掃除していた「のと海遊回廊」。能登半島近海の生物を中心に展示し、一体型アクリル水槽や半円状の観察ドーム、天井と床のプロジェクションマッピングなどにより海の中にいるような臨場感が!(撮影:谷町邦子)

 ダイバーの日比野さんは地震が発生したとき、「のと海遊回廊」というエリアの入口側から12~13メートル付近で、水槽のアクリル面の下方をスポンジで拭いていました。水槽の中の水は一定の方向に流れるように設定されており、特に流れの強さなどに変化は感じなかったと振り返っています。水槽によっては地震に気づかず、また水中のため、意思の疎通は難しい場合があるということです。

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 あもんさんは地震発生時、館内を一通り見た後、朝混んでいた水槽を恋人ともう1度見ていたところでした。水槽の写真を撮っている最中、突然スマホに緊急地震速報が流れました。あもんさんさんは「地震が来る」と思い、水槽を掃除している日比野さんに向け、とっさにスマホの画面をガラスにくっつけて知らせようとしました。しかし、その時点で日比野さんはまだ気づいていなかったように見えたといいます。

 2回目の緊急地震速報が流れた途端、今度は水族館が揺れました。多くの来館者はスタッフの誘導のもと出口に走って逃げていきましたが、やはり日比野さんは揺れに気付いていないように見えました。そこで、あもんさんが再度ガラスにスマホの画面をくっつけたところ、日比野さんがそれに気づき、自分たちも逃げるようにジェスチャーされたため、恋人と一緒に避難したということです。

日比野さんはちょうどこのあたりを掃除中でした(撮影:谷町邦子)

 その2日後、あもんさんは恋人に「水族館での出来事がTwitterに載っている」と教えてもらい、日比野さんの無事を知りました。あもんさんは「水族館側にも連絡を入れ、ダイバーの日比野さんと電話で話しました。とても感謝している感じで、当時は当たり前のことをしたとしか考えていなかったので、とてもうれしい気持ちになりました」と振り返っています。

 また、日比野さんは「誰もが慌てても不思議ではない状況の中で、ご自身の避難の前に私に状況を知らせてくれたことに、心より感謝をお伝えしたいと思います」と、あもんさんヘの感謝の思いを語りました。

水族館で地震が起きたら?

能登島にある「のとじま水族館」。向こうには七尾北湾が広がります(撮影:谷町邦子)

 水族館で地震が起きたときの適切な行動をたずねると、高橋さんは「水槽などが多くある屋内から屋外へとスタッフの誘導に従って、冷静に行動していただければと思います」とコメント。普段の自宅や職場、学校などとは違い、慣れない場所なので、自分勝手な判断はせず、スタッフの話をきちんと聞いて行動するのがポイントのようです。

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 地震と心温まる出来事で水族館が注目を集めることとなり、高橋さんは「今回の地震でたくさんの方からご心配の声を頂きました。あらためて感謝を申し上げたいと思います。また、このニュースをきっかけに当館のことを知ってくださった方もたくさんいらっしゃるかと思います。今後は地震が終息することを願うと共に、この自然豊かな能登半島に位置するのとじま水族館の生きものたちに会いに来ていただける機会が少しでも増えればと思っています」と、読者へメッセージを送っています。

(谷町邦子 FacebookTwitter

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