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ノーヘルは「非常に高い確率で重篤な傷害発生」 JAF「電動キックボードで事故」想定の衝突実験を実施 段差で転倒しただけでも危険度6倍の差(1/2 ページ)

油断禁物。

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 JAF(一般社団法人日本自動車連盟)は2023年7月14日、電動キックボードで転倒や衝突などの事故が発生した場合に、頭部損傷のリスクにヘルメットの有無でどれほど差が出るのかを調べた実験結果を公表しました。


JAFが公開した実験映像(画像はYouTubeより)

 電動キックボード(または電動キックスクーター)は、2023年7月に道路交通法の改正によって設けられた「特定小型原動機付自転車」に区分され、一定条件を満たした車両は16歳以上であれば免許不要で運転できるようになりました。

 改正法の施行後、トラックやタクシーなどに電動キックボードを運転していた人が衝突事故を起こしたといったニュースが伝えられていますが、2022年には電動キックボードに関する41件の交通事故が記録されており、そのうち1件は死亡事故となっています。

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ヘルメットの着用は努力義務に(画像はYouTubeより)

ノーヘルで転倒・衝突は「重篤なケガ」のリスクが非常に高い

 JAFが行った実験は、時速20キロで走行する電動キックボードが「縁石に乗り上げて転倒」したケースと、「静止した自動車と衝突」したケースを想定したもので、どちらもヘルメットを着用していた場合と着用していなかった場合で、脳や頭部を損傷するリスクが調べました。

 電動キックボードに乗せたダミー人形は、縁石を想定した段差にぶつかった瞬間、前方に勢いよく投げ出されて頭部から地面に激突。この時に発生した衝撃を脳や頭蓋骨への損傷程度を表す数値「HIC(Head Injury Criterion)」で表すと、ヘルメット着用時は1231.8ポイントであるのに対して、ノーヘルでは7766.2ポイントと約6倍の差が発生しました。


実験のようす(画像はYouTubeより)

 実験に協力した交通事故におけるケガのリスクに詳しい名古屋大学・水野教授によれば、HICの値が1000を超えると脳障害の可能性があり、3000を超えると非常に高い確率で重篤な障害が発生するそうです。

 自動車と衝突する事故を想定した実験では、一次衝突(自動車と電動キックボードが接触)のリスクはどちらも低かったものの、二次衝突(自動車と人体の接触)においてはヘルメット着用時は147.9ポイントであったのに対して、ノーヘルでは6346.3ポイントと約42倍の差が生じました。


JAFが公開した実験映像(画像はJAFより)

JAFが公開した実験映像(画像はJAFより)

 どちらのケースでもノーヘルの場合は「非常に高い確率で重篤な障害が発生する」とされる基準値3000を大幅に超える結果となっており、JAFは「頭蓋骨骨折や脳損傷など重篤な頭部損傷になるリスク、死亡するリスクが高い」としています。

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 実験の様子をまとめた映像はYouTubeにて公開されており、歩行者や自転車と電動キックボードによる衝突事故を想定した検証も行われています。対人事故の場合、電動キックボードのハンドルが人体の胸部にぶつかるなどして、被害者を想定したダミー人形は後方に転倒。後頭部を地面に強く打ち付けてしまい、HICは6957.8ポイントを計測していました。

春山優花里

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