ニュース

日本赤十字社、AIで関東大震災の「“新”証言」生成する企画物議で中止 「史実を変更する意図はなかった」日赤が語る背景……(1/2 ページ)

日赤に取材しました。

advertisement

 日本赤十字社(日赤)が関東大震災から100年の節目に展開する、AIを活用することで当時の「人々と“新”証言」を現代によみがえらせるというプロジェクトに批判が寄せられ、日赤は同プロジェクトの中止を決定しました(関連記事12)。日赤は批判をどう受け止めたのか。ねとらぼ編集部では、日赤に取材しました。

「100年前の100人の新証言 ~データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」
画像は日赤 公式サイトより

 中止が決定したのは、「100年前の100人の新証言 ~データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」というプロジェクト。当時の日赤の救護活動の様子を描いた1枚の絵画を用い、絵の中にいる避難者100人が当時の各種文献を読み込んだAIを活用し、発災当日に経験したことを「“新”証言」として語る、というものでした。

AIによる人物像(肖像)
AIによる「“新”証言」
生成の流れ

 SNS上では同プロジェクトに対して、「生成AIで作ったものは証言じゃなくてフィクションでしょ」「歴史資料に対して相当に不味いことやってないか」「どうして数多くの証言が存在するのにこんなことをしようと思ったのか」など、問題視する声が広がっていました。

advertisement

日赤「史実を変更する意図はなかった」

 日本赤十字社東京都支部 総務部 企画課は批判の声をどう受け止めたのか。メールでの取材を申し込んだところ、以下の回答が得られました。

――なぜ同プロジェクトを企画したのでしょうか。背景を教えてください。

日本赤十字社東京都支部 総務部 企画課(以下、日赤):同プロジェクトは、当支部のエントランスの壁に飾られている油絵「関東大震災当時の宮城前本社東京支部救護所の模様(二世五姓田芳柳作)」という、約100年前に描かれた関東大震災に関する1枚の絵画を起点に始まりました。

元になった1枚の油絵「関東大震災当時の宮城前本社東京支部救護所の模様」

 100年という歳月によって震災当時の記憶も薄れ、描かれた当時の様子も絵画だけでは伝わり難くなってきております。AIという新しい技術のサポートを得ることで、「描かれている当時の状況や、そこから見出せる教訓等を想像しやすくなるのではないか」という思いから企画いたしました。

 関東大震災に関心をもっていただき、少しでも防災に備える行動をとっていただくことが、同プロジェクトの一番の目的でした。

advertisement

――SNS上では同プロジェクトに対して批判の声が上がっています。特に多く見られたのは、AIで生成したメッセージは「証言」ではなく「創作(フィクション)」ではないか、という意見でした。

日赤:メールやSNSなどで批判的なご意見を頂戴いたしました。実在していた人物が語るかのような誤解を招いてしまいましたら、深くお詫び申し上げます。申し訳ございません。

 史実を変更したり、変えたりする意図や作為はありませんでした。使用した文献中の体験は当時実在した人物によるものですが、AIを介した解釈が入った絵画中の人物が語ることから、「新証言」という表現を使用してしまいました。

 そのため、実在していた人物が語るかのような印象を与えてしまい、その結果、本来プロジェクトを通して伝えたかったことが十分に伝えられない状況であると判断し、実施を見送ることといたしました。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】