日本赤十字社(日赤)が関東大震災から100年の節目に展開する、AIを活用することで、当時の「人々と“新”証言」を現代によみがえらせるというプロジェクトに対して、SNS上で批判の声が上がっています。
問題視されているのは、「100年前の100人の新証言 〜データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」というプロジェクト。当時の日赤の救護活動の様子を描いた1枚の油絵を用い、絵の中にいる避難者100人が当時の各種文献を読み込んだAIを活用し、発災当日に経験したことを「“新”証言」として語る、というものです。
「“新”証言」の生成には、ChatGPTをベースに構築した独自のライティングシステムを採用。関東大震災に関する史実書や証言文など各種文献から、60万文字以上の情報を読み込ませたうえで、油絵に描かれた100人分の人物像をヒントに、100人のショートストーリーを構築したとしています。
また、最新AI描画テクノロジーなどを活用して、避難者100人のうち20人の人物像(肖像)を生成しました。「より『写真』に近づけるために条件づけ」「肖像が身にまとう衣服などを当時のものにできる限り近づける」など、より写真に近い肖像で「“新”証言」を体感するために工夫がこらされています。
日赤は同プロジェクトを「『20人の人物像(肖像)』と『100人の“新”証言』という新たな形で生成し、薄れゆく教訓を未来へと語り継いでいくプロジェクト」と位置づけており、「生成AIを用いることで、可能な限り主観性を排除した客観的な『新証言』となるように配慮した」としています。
さらに、日赤は同プロジェクトに込めた思いをこう語っています。
「関東大震災発生時に皇居前広場に設けられた臨時救護所に集まった多数の人々の様子を描いた油絵『関東大震災当時の宮城前本社東京支部救護所の模様』は現在、日本赤十字社 東京都支部社屋のエントランスに飾られています。 当時の様子をビジュアルとして伝えてくれる重要な絵画ですが、関東大震災から100年が経過し、薄れゆく記憶の中で、この絵画もまた、ただの展示物となってしまっていました。
絵画に描かれているのは、まさに震災時に様々な状況や気持ちを抱えて、救護所に集まってきた人々です。この人々の思いを、〈生成AI〉を活用し、当時の状況とそこから見いだせる教訓として現代に伝えることで、今 を生きる人々が自分ごととして災害への「備え」を意識するきっかけになればという思いから本プロジェクトは スタートしました。また同時に、各所にバラバラと点在する様々な資料に残された当時の体験談をデータとして読み込ませ、後世に残していくことができる形へと再構築を図る狙いもあります」
一方で、SNS上ではAIを活用して「“新”証言」を語らせるという方法に対して、「生成AIで作ったものは証言じゃなくてフィクションでしょ」「歴史資料に対して相当に不味いことやってないか」「どうして数多くの証言が存在するのにこんなことをしようと思ったのか」など、問題視する声が広がっています。
ねとらぼ編集部では、日赤に同プロジェクトを始めた背景、問題視する声に対する受け止めなどについて問い合わせ中で、回答があり次第追記を予定しています。
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