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AIで関東大震災の「“新”証言」生成する日赤のプロジェクトが取りやめに 「証言ではなくフィクション」と物議(1/2 ページ)

日赤は「本来の意図が伝わらず一部で誤解を招いてしまった」としています。

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 日本赤十字社東京都支部は8月25日に公開を予定していた関東大震災100年プロジェクト「100年前の100人の新証言 〜データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」を取りやめると発表しました。AIを活用して「“新”証言」を生成する内容に「証言ではなくフィクション」など批判が寄せられていました。

 同プロジェクトは、当時の日赤の救護活動の様子を描いた1枚の油絵を用い、絵の中にいる避難者100人が当時の各種文献を読み込んだAIを活用し、発災当日に経験したことを「“新”証言」として語る、というもの(関連記事)。


「100年前の100人の新証言 〜データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」

 AIを活用して「“新”証言」を語らせるという方法に対して、SNS上では「生成AIで作ったものは証言じゃなくてフィクションでしょ」「歴史資料に対して相当に不味いことやってないか」「どうして数多くの証言が存在するのにこんなことをしようと思ったのか」など、問題視する声が広がっていました。


AIによる「“新”証言」

 日本赤十字社は「本プロジェクトは、当支部エントランスの壁に飾ってある、約100年前に描かれた関東大震災に関する1枚の絵画を起点に始まりました。100年という歳月によって震災当時の記憶も薄れ、描かれた当時の様子も絵画だけでは伝わり難くなってきております。AIという新しい技術のサポートを得ることで、描かれている当時の状況やそこから見出せる教訓等を想像しやすくなるのではないかという想いから、企画いたしました」と企画意図を説明。


企画のもとになった絵

 しかし「本来の意図が伝わらず一部で誤解を招いてしまった」として、プロジェクトを通して伝えたかったことが十分に伝えられない状況と判断して、実施を見送る決定をしたとしています。「より慎重な検討が必要であったと反省しております」と述べ、取りやめに伴う迷惑や不便に対して謝罪しています。

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