大阪IRのイメージ画像、許諾断られたアート作品を無断使用 「本来あるまじき行為」と謝罪(1/2 ページ)
許諾を断られた奈良美智さんの作品を無断使用し、村上隆さんには連絡を取っていなかったとのこと。
日本MGMリゾーツは8月29日、大阪IRのイメージ画像にアーティストの作品が無断で使用されていたと指摘を受けていた問題(関連記事)について、調査結果を報告しました。「権利者から使用許諾を得ることなく本デザインを無断で使用した」との結論に達したとしています。
問題の画像については4月、芸術家の奈良美智さんが、大阪IRの広報資料に自作品「あおもり犬」のデザインが無断で使用されていると指摘していました。村上隆さんの作品「お花お花お花」も使用されていたとの指摘もありました。日本MGMリゾーツは「しかるべき承諾を得ていない可能性が高い」として謝罪し、当時の権利処理の状況について調査を行っていました。
調査結果によると、2020年6月ごろに暫定的に当該デザインを埋め込んだパース図を作成。奈良さんの「あおもり犬」については、MGMが関係するギャラリー経由で使用許諾を依頼したものの、6月末に断られたといいます。村上さんの作品については、実際に村上さんにコンタクトした事実は確認できなかったとしています。
その後、使用許諾の有無について然るべきチェックを行わなかったため、当該デザインを埋め込んだパース図を大阪IRの広報動画などに使用し、大阪府・市に提出。2021年9月に、青森県立美術館からの問い合わせを受けて、大阪府・市から「あおもり犬」の許諾を得ているかの確認の依頼があったものの、社内で十分な確認を行わずに大阪府・市に許諾を得ている旨の回答をしたといいます。
「本来あるまじき行為であり、また、権利処理の不備・管理不足により、アーティストの皆様、大阪府・市様、その他ご関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを、重く受け止め、改めて深くお詫び申し上げます」と同社は謝罪しています。
この事態を受けて、大阪IRの広報用資料として提出したパース図・写真、動画について、権利処理状況を確認したところ、当該デザイン以外にも、権利処理が未了またはその可能性を排斥できない画像などが一部存在することが判明したとしています。そのうち、権利者の特定が可能なものは、可能な範囲で事後的に許諾を取得したとのこと。
再発防止策として、第三者のアート作品の使用に係るプロセスの強化、広報資料に使用する写真等の使用に係るプロセスの強化、コンプライアンス意識の向上と教育の徹底を実施するとしています。
奈良さんの公式サイトではこの件について「大阪IRの施設に『あおもり犬』がアート作品として展示されているかのような広報資料が作成、公表されたことは極めて遺憾であり、著作権侵害行為であることに加え、著作者人格権の侵害行為でもあったと受け止めております」とコメントを掲載。「これを機に、アートにかかわる権利が広く尊重される社会となることを強く希望いたします。なお、大阪府・市等関係者の方々からは真摯な謝罪をいただきましたので、当財団からも、ここにお伝えする次第です」
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