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高温傾向この先も続く 今年の冬は季節風が吹きにくく 日本海側は雪が少ない可能性

高温傾向は、冬にかけて続く見込みです。

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 今年2023年の春と夏は、記録的な高温になりました。この秋、残暑はまだまだ厳しく、季節の進みはゆっくりでしょう。高温傾向は、冬にかけて続く見込みです。

今年2023年の春と夏 記録的な高温

 今年の春は、降水などの天気現象が起こる対流圏のさらに上の成層圏で、急に温度が上昇する成層圏突然昇温が発生していたなどの影響で、偏西風が蛇行し、日本付近は暖かい空気に覆われました。

 今年の春、平均気温は全国的に高く、特に北日本、東日本、西日本でかなり高くなりました。北日本と東日本では1946年の統計開始以降、春として1位の高温になりました。

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 春に、南米ペルー沖で海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が発生しました。

 典型的なエルニーニョ現象は、西部太平洋熱帯域で、海面水温が平年より低くなり、この海域では対流活動が不活発になります。このため、エルニーニョ現象が発生している時の日本の夏は、太平洋高気圧の張り出しが弱く、低温傾向になります。

 ところが、今年の夏は、典型的なエルニーニョ現象とは違い、太平洋熱帯域の全体で海面水温が平年より高くなりました。このため、西部太平洋熱帯域も含めて、太平洋熱帯域で対流活動が活発になり、熱帯で大気が暖められた影響などが、日本にも及びました。

 今年の夏、平均気温は北日本、東日本、西日本でかなり高くなり、1946年の統計開始以降、夏として1位の高温になりました(西日本は1位タイ)。

この秋 高温傾向が続く 秋雨前線や台風の影響が長引く可能性

 今年の秋、エルニーニョ現象はピークに向かいます。

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 それに加えて、正のインド洋ダイポールモード現象が発生する可能性があります。正のインド洋ダイポールモード現象は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象とは独立した海洋の変動として知られています。インド洋熱帯域の海面水温が南東部で平年より低く、西部で平年より高くなる現象です。その逆は負のインド洋ダイポールモード現象です。この現象は、おおむね夏から秋に発生します。

 この秋、西部太平洋熱帯域では、海面水温が次第に低くなることが予想されますが、正のインド洋ダイポールモード現象が作用することにより、海面水温が低くても対流活動は活発な状態が続く予想です。このため、太平洋高気圧の後退は遅いでしょう。残暑はまだまだ続きます。秋の深まりもゆっくりでしょう。

 2023年の秋は、本州付近は前線や湿った空気の影響を受けやすく、沖縄や奄美、西日本や東日本の太平洋側は、降水量が平年より多い見込みです。

 秋は台風シーズンでもあります。今年は秋雨前線や台風の影響が長引く可能性があります。

 側溝の掃除をして、家の周りの水はけをよくしておくなど、日ごろから大雨への対策をしておくとよいでしょう。

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今年(2023年/2024年)の冬 季節風が吹きにくく 日本海側は雪が少ない可能性

 エルニーニョ現象は、今年(2023年/2024年)の冬にかけて続くでしょう。

 エルニーニョ現象が発生している場合、日本の冬の統計的な特徴としては、西高東低の気圧配置が弱く、高温傾向になることです。

 今年の冬、今のところの予想では、熱帯の状況や大気の振る舞いは、典型的な冬のエルニーニョ現象の状況と、おおむね類似しているといえそうです。

 上の図は、北半球の12月から2月にかけて、上空1500メートル付近の温度の予想です。日本付近は、平年より温度が高いオレンジ色のエリアになっています。今年の冬は、全国的に高温傾向になりそうです。

 今年の冬の特徴は、本来吹くはずの大陸からの冷たい北よりの季節風が吹きにくいことです。例年に比べて、日本海からの雪雲の流れ込みが少ないことが考えられます。

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むしろ、西日本付近に南から湿った空気が流れ込みやすいでしょう。太平洋側の地域では、南岸低気圧の影響で、くずついた天気になり、雨や雪が平年より多くなる可能性もあります。

 今後、気象庁から発表される最新の季節予報をご確認ください。

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