アニメ業界団体がAIへの意識調査を実施 7割以上が「規制に賛成」 一方で新しい技術に期待する声も(1/2 ページ)
効率化への期待も多い一方、学習元データの権利関係を危ぶむ声も多いようです。
一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)が、生成AIの是非について、アニメ業界を対象とした調査結果を発表しました。AIの使用について、7割以上が「規制が必要」と回答したとのことです。
調査期間は6月9日から30日まで。NAFCA会員へのメールと、X(Twitter)などのSNSで告知した結果、3854件の回答がありました。なお、当時は会員数がまだ少なかったこともあり回答者のほとんどは非会員で、アニメ業界従事者であると答えた人数は全体の1割程度とのことです。
「AIの使用に関する規制について、あなたはどのように考えますか?」という全般的な設問では、「例外を除いて原則規制すべき」が46.3%、「全面的に規制すべき」が27.4%で、合計73.7%が規制に賛成。読売新聞が一般を対象に行った調査で「規制が必要」と回答していた割合(86%)よりも、12.3ポイント低い結果となりました。
具体例を伴う設問では、「有名人か一般人かを問わず、特定の個人の声になれるボイスチェンジャー技術」には81.1%が「規制が必要」と、規制への賛成がより多い結果に。その一方で、AIが生成した「実在しない人の顔」を作品に登場させることについては、「規制すべき」の割合は60%まで下がっています。「実在する人物の権利が損なわれないのであれば、作品の素材として活用する道がある」と考える人も少なくないようです。
具体的な規制について聞いた設問では、「学習元として利用することに了承した著作物のみを使用し、無断学習に罰則を設ける」と「AI生成物であることを明示する」を選択した人が約8割で上位に。次いで、「学習元に報酬を発生させる」「実在しない人物であっても、公序良俗に反する利用は規制する」「AIの進化に備え、『声』や『作風』などこれまで表現と切り離しての利用が想定されていなかった事象への著作権・肖像権を確立させる」が目立ちます。
なお、業界従事者に絞って見ると、「全面的に/例外を除いて規制すべき」と答えた割合は約57%に。人手不足や長時間労働が業界の課題とあって、技術の進歩による制作の効率化を求める声が多いのかもしれません。ただ、そう希望する人でもフリー記述欄では「著作物をほぼ無規制に使用しているような現状では、むしろ文化や市場の破壊、衰退につながる」「学習元の著作権問題をクリアにしない限り商用では使えない」といった声が多く、現状のままでAI活用には懸念があるものとみられます。
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