片岡愛之助が本気で挑む“壮大な茶番劇”は「真剣にやればやるほど面白く」 スケールアップした「翔んで埼玉」の世界観を埼玉県民が聞いてみた(1/2 ページ)
埼玉県人の解放から4年。
前代未聞の“埼玉ディス映画”として、埼玉県民はもちろん日本全土に衝撃を与えた「翔んで埼玉」が2019年に公開されてから4年。関東を飛び出して大幅にスケールアップした続編「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」が11月23日(木・祝)から全国で劇場公開されます。
代表作『パタリロ!』で知られる漫画家・魔夜峰央さんが埼玉県に住んでいる時期に執筆した『翔んで埼玉』は、「埼玉県人は東京へ行くのに通行手形が必要」「埼玉にはいまだに奉行所がある」といったトンデモ設定から成る快作。原作を踏襲しつつオリジナル要素をふんだんに盛り込んだ映画1作目は、東京都民からさげすまれる埼玉県人を救うべく「埼玉解放戦線」のメンバーらが戦うというストーリーでした。
舞台の中心を関西に移した今回の続編は、大阪・京都・神戸から成る上級関西人が滋賀県人・奈良県人・和歌山県人を虐げる構図で、その筆頭として圧政を敷く悪逆非道な大阪府知事が登場する全く新しい物語を展開。関西人なら一度は聞いたことがある「関西人あるあるネタ」が、随所に盛り込まれた作品となっています。なお、おなじみの“埼玉ディス”はもちろん健在です。
ねとらぼでは、今作最大の敵として新たに登場し、主人公・麻実麗(GACKTさん)や滋賀解放戦線のリーダー・桔梗魁(杏さん)らを苦しめる大阪府知事・嘉祥寺晃役を演じる片岡愛之助さんにインタビュー。生粋の大阪人である愛之助さんの役作りやお気に入りの“大阪ネタ”、作品や世界観の魅力を、埼玉県民の記者が聞きました。
壮大なスケールで描く茶番劇 唯一無二な「翔んで埼玉」の世界
―― 2019年に公開された前作「翔んで埼玉」は、興行収入37億円を超える大ヒットを記録。前作の印象はいかがでしたか?
片岡愛之助(以下、愛之助) 僕は『パタリロ!』を読んで育ってきた世代ですし、亡くなった父(二代目・片岡秀太郎さん)も『パタリロ!』が大好きだったんです。魔夜先生の現実離れした世界観が好きなので、前作も拝見していました。GACKTさんや二階堂ふみさん(壇ノ浦百美役)をはじめ、登場する皆さんが美しくて、特殊な世界観でも全く違和感がないですよね。白塗りをして劇場という別世界に立つ歌舞伎に近いものも感じました。あと、やっぱり京本政樹先生(埼玉デューク役)は美しかったです(笑)。
―― キャスト発表時のコメントでは、「役者人生の中で3本の指に入る名作」とおっしゃっていましたが……。
愛之助 本当に名作ですよ。「迷作」と間違っちゃいけない(笑)。僕は武内監督に「大河ドラマを撮るときの感じでやってください」と言われて、ものすごく真剣に演じたんです。こういう作品は、真剣にやればやるほど面白くなると思っています。
―― 武内監督をはじめ、皆さん真剣に作品に向き合っていたんですね。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
愛之助 本当に毎日が楽しかったです。あまり働いている気がしなくて、毎日お祭りでした。監督は撮影中いつも笑っていて、「これが正解でいいんですか?」と聞くと毎回「最高です!!」と返してくれて、とても楽しい現場でした。
関西を牛耳る大阪府知事・嘉祥寺晃
―― 自身の役「嘉祥寺晃」について詳細を知ったときはどう感じましたか?
愛之助 最初に「知事の役」と聞いたときは「意外と普通の感じなのかな?」と思いましたが、台本を読んだら「これは本当に知事かな?」という感想を持ちました(笑)。最初から最後まで荒ぶっている役でしたね。
―― 役作りについてはいかがでしょうか。原作漫画には登場しないキャラクターを演じるにあたって、どういった解釈をされましたか?
愛之助 実は……実際に大阪府の吉村洋文知事とお話する機会がありました。まさかこんな悪役とは言えませんでしたが、大阪府知事の役を演じることを話して「絶対怒らないでくださいよ!」と言いました。
あとは台本を読んで監督とディスカッションして、前作を見返したり……。現場に入って派手な大阪の街のセットやメイクを見たら自然と世界観を感じましたし、個性的なせりふを台本で読むだけでもイメージがわきました。
―― 奥様である藤原紀香さんも神戸市長役で出演。初共演が各所で話題になっています。
愛之助 話題になってるんですか? まだ本編を見ていない人は「ただ夫婦共演してるだけ」と思うでしょうが、あんな展開になっているとは……たぶん衝撃だと思います。2人とも前作は見ていたのでオファーはうれしかったのですが、「イチャイチャする役だったらやめておこう」と話していました。夫婦で共演してただ仲良くするだけの内容だったら誰も見たくないだろうと。
結果的に共演が実現しましたが、クライマックスに近づくシーンの掛け合いを読んだときは「いいぞいいぞ」と思いましたし、演じていてものすごく楽しかったです。
―― 愛之助さんならではの、歌舞伎や日本舞踊のエッセンスを感じるシーンもありました。ネタバレにならない範囲であの場面について語っていただけますか?
愛之助 あのシーンは、エキストラの皆さんも含めてすごいなあと思いました。僕個人の振り付けに関しては現場で突然変更になることもありましたし、そもそも舞うのに適した靴ではないですし、音楽も歌舞伎の三味線とは違うので合わせるのに苦労しました。バランスを良くするために、僕から提案して追加した要素もありますよ。
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