【大人の学び直し】ゾウの鼻はなぜ長い? 仲間の死を悲しむ知的生物・ゾウの意外と知らない進化の不思議(1/2 ページ)
寝る前にじっくり見たい。
ゾウの鼻が長い理由を分かりやすく解説した動画がYouTubeで注目を集めています。動画は記事執筆時点で2万4000再生を超え、「生き物って不思議」「面白い進化」といった声が寄せられています。投稿者は、サイエンスライター兼イラストレーターの北村雄一さん。奇跡とも呼べる進化の過程と、意外と知らない“長い鼻”の秘密に思わずうなります。
4足歩行のまま進化することができたゾウ
ゾウの鼻はなぜ長いのでしょう。まずは、ゾウを含む脊椎動物の進化を探っていきます。脊椎動物および、知的生物である人間とオウムは、それぞれ前足、または後ろ足を“手”として扱えるよう進化しました。これは4足のうち2足を“手”に転用する必要があったためといわれています。
ところがゾウは違いました。長く伸びた鼻を“手”として扱えるようになり、4足歩行のまま進化することができたのです。
偶然がもたらした奇跡の進化
時代を3700~3000万年前へさかのぼります。このころエジプトにいた「メリテリウム」という種類が、ゾウの初期の姿といわれています。大きさは2メートルぐらいで、水辺に住むカバのような動物でした。頭骨を見ると鼻は頭部の前にあり、一般的な哺乳類と同じ構造です。このころは今のように鼻が伸びていなかったことが分かります。
その後「フィオミア」という種類へ進化し、鼻孔は目の前の辺りへ移動。長い鼻を持つバクと同じような見た目になりました。このころ鼻の付け根が筋肉で構成され、自由に鼻を動かせるようになります。
「ゴンフォテリウム」という種類へ進化すると、上顎と下顎が長く伸びました。それと同時に鼻も伸び、現在のゾウの姿と近くなります。
さらにその後「ステゴテトラベロドン」という種類へ進化し、牙が長くなります。また土台である上顎と下顎の縮小が始まり、伸びた鼻はそのまま残りました。下顎の骨の先端が下を向いたことで、現在のゾウとよく似た姿形になります。
鼻の進化は“脳の進化”も促した
さて、現在のゾウの姿を見てみましょう。下顎の牙が失われ、長い鼻が残っています。ゾウの鼻は、これまで長かった下顎が支えていたからこそ伸びることができ、完成された器官として残すことができたのです。
またゾウは仲間の死を理解し、遺骨を慈しむ高度な認知能力を持つといわれています。この認知能力は、鼻を操作するためには脳の発達が必要とされることから、向上したとされています。鼻の進化は結果として、脳の進化も促したといえるでしょう。
北村さんいわく、このような進化をたどった哺乳類は他にいないとのこと。さまざまな偶然が重なり、自由に扱える鼻を手に入れた過程は、まさに奇跡といえますね。
生き物の進化は面白い
この動画には、「貝が浮力を得たことで足がフリーになってタコのように賢くなれたみたいな感じですね」「象だけは器用に操作できる鼻という新しい『脚』を獲得していて、おもしろい進化だなって思う」「生き物って不思議です」と、生き物たちの進化の過程に再注目する声が寄せられています。
生物進化から天体まで幅広い分野で活躍する北村さん。著書『ダーウィン『種の起源』を読む』(化学同人社)では、科学ジャーナリスト賞大賞2009を受賞しました。YouTubeチャンネル「サイエンスライター北村雄一の地球放送」では、地球や宇宙、そこに住まう生物の歴史を分かりやすく解説しています。
画像提供:YouTubeチャンネル「サイエンスライター北村雄一の地球放送」
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