ショッピングモールは「買う」から「歩く」場所へ? 共感集める「モール散歩」、大手各社の取り組みは(1/3 ページ)
ショッピングは「スポーツ」の時代に。
買い物ではなく散歩をするために、ショッピングモールを訪れる――。そんな体験談がX(旧Twitter)に相次いで寄せられ、共感を呼んでいます。実は大手ショッピングモールも近年、施設内でのウォーキングコースを整備するなど、「モール散歩」を積極的に推奨してきました。
広い通路、全天候型……メリット多数のモール散歩
11月、Xには「イオンモール」を散歩の場として使っているという投稿が相次いで寄せられました。具体的には、広大な面積のモールを移動することが運動代わりになっていた、妊娠中で適度な運動をするのにちょうどよかった、高齢の親が安心して歩くことができた、といったものです。
他にもイオンモールを「散歩の場」として利用する理由として、天気の影響を受けない、通路の幅やトイレスペースが広く、子ども連れでも安心して歩ける、休憩する椅子もあるといった意見もありました。
とはいえ、ただモール内を散歩するだけなら店にお金を払っていることにはならないため、「そんなことをしていいのか?」とためらう人も多いかもしれません。しかし、イオンモールは、施設内での散歩を積極的に推奨してきました。
イオンモールの広報担当者によると、同社では「イオンモールウォーキング」と称し、館内を歩けるウォーキングコースを2017年から国内140カ所に設置。訪問客の健康をサポートする目的で実施しているもので、「季節や天候、時間に左右されず、お買い物をしながら運動を楽しむことはできるとご好評いただいている」(担当者)といいます。
さらにウォーキングコース以外にも、自分の歩行状態を知ることができる体験型システム「バランスウォーキング」や、階段を登ると音楽が流れる仕掛けを盛り込んだ「クライムウォーキング」など、モール散歩を促すような設備を一部店舗に設置しています。
また、イオンモールの公式アプリには毎日の歩数データや消費カロリーを記録するウォーキングプログラム機能を搭載。一日の歩数目標を達成すると「くじ」がもらえ、WAON POINTが当たるプレゼントに応募できるという仕掛けもあります。なお、イオンモールと千葉大学がアプリのウォーキングプログラム利用者を対象に行った研究調査によると、アプリのプログラムを利用した日は、使わなかった日と比べて平均歩数が約1300歩多い結果になったといい、アプリの存在が歩く動機になっている可能性がうかがえます。
「モール散歩」が浸透していることについて、担当者は「イオンモールウォーキングの取り組みが、お客さまにご支持いただけているとのこと、大変嬉しく思います。今後もお客さまにご満足いただけるサービスを提供してまいりたいと思います」と喜びを伝えています。
アリオ、ららぽーとも「散歩」を推奨
「モール散歩」を推奨しているのはイオンモールだけではありません。例えば、セブン&アイ・ホールディングスのショッピングモール「アリオ」では、全国各地の店舗が独自の施策を実施しています。
「アリオ札幌」(札幌市)には室内にウォーキング専用コースを設置。ウォーキング専用のアプリ「アリオウォーキング」も配信するほどの力の入れようです。また「アリオ上田」(長野県上田市)では、参加無料のモール内ウォーキングイベントを毎月実施し、参加するとモール内の飲食店で使える100円分のクーポンを手に入れることができます。「アリオ鷲宮」(埼玉県久喜市)では、理学療法士のアドバイスを受けながらウォーキングできる有料イベントを行っています。
三井不動産のショッピングモール「ららぽーと磐田」(静岡県磐田市)は磐田市、静岡産業大学と共同で「楽La歩(ららぽ)ウォーク」と題したイベントを8月~9月にかけて実施。学生が作ったマップを参考にしながら館内を歩き、各チェックポイントで出題されるクイズに答え、キーワードを集めると店内で使えるクーポンがもらえる、という内容でした。
イベントのチラシでは「ショッピングはスポーツだ!」「普段何気なく歩いているこの『ららぽーと磐田』も実は立派なスポーツ施設なんです!」との文言が並び、ショッピングモールを「運動の場」として活用してほしいという狙いが伝わってきます。
これから本格的に到来する寒い季節。この冬は、暖かいショッピングモールの中を歩いてみるのもいいかもしれませんね。
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