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ミス・フランス史上初“ショートカット”の女性が優勝 「八百長」「美しくない」と容姿批判の声に向け「私たちはみんな唯一無二の存在」(1/2 ページ)

強さもミスの証。

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 12月16日に仏ディジョンで開催された「ミス・フランス 2024」で、同大会初となる“ショートカット”の女性エヴ・ジルが優勝しました。これについてSNSを中心に容姿批判と捉えられるようなコメントが広がり、エヴはインタビューで自身の考える美しさや多様性の在り方について語りました。


ミス・フランス2023年のインディラ・アンピオットに戴冠されるエヴ・ジル(画像はエヴ・ジルのInstagramから)

髪形ひとつで大論争「男性的」「意識が高すぎる」

 1920年に第1回が開催され、100年以上の歴史を持つ「ミス・フランス」。仏北部のミス・ノール=パ=ド=カレーとして参戦した現在20歳のエヴは、リール大学で数学を学び将来は統計の仕事に就きたいと話す学生で、同大会に出場するにあたってその“髪形”で注目を浴びていました。

 それはロングヘアが主流である同大会で、彼女がピクシーカットと呼ばれるサイドとバックを短く刈り上げたショートカットだったこと。長い歴史を持つ同大会で彼女のようなショートカットの女性が優勝したのは初めてのことだとして、大会と前後し多くの反発も見られ、同国のX(Twitter)ではエヴの名前がトレンド入りする事態にも発展しました。

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 大会中にエヴを批判する声としては「あまりに男性的過ぎる」「痩せ過ぎている」などと、単純に彼女の容姿が自身の考える女性美にそぐわないことからの批判がほとんど。また、彼女の髪形について“意識が高すぎる”として急進的な「思想」をもとに大会の伝統を覆そうとしていると主張する声も見られました。

 そしてエヴが優勝すると、「史上最も美しくないミス・フランス」「ミスなのかミスターなのか?」「申し訳ないけど、ミス・フランスはフランスで最も美しい女性でなければならないんだ」など、エヴの容姿についてさらに心無いコメントが相次ぎました。

 批判のなかには「これは八百長だし不正な選出」「最悪。他の(最終候補者)4人の方がずっとよかったのに、全ては平等な社会を作るためなんだ」などとして、エヴのウオーキングや振る舞いが洗練されておらず、スピーチでも社会問題に対して的確に回答できていなかったなどと指摘し、容姿以外にも他の候補者に比べ優れたところがなかったとする声も。歴代のミス・フランスにはいなかった“ショートカット”の女性を選出することで大会が“多様性”を示すことが目的であると意見する人も現れました。

30人の候補者から最終的に5人に絞られる

擁護派は「この国は本当にどうかしてきた」とあきれ

 一方、彼女への批判にショックを受ける人も多く、「意味がわからない。彼女はとてもゴージャスだ」「彼女にとって忘れられない感動的な瞬間のはずなのに、あなたたちはそれを台なしにしている。彼女はとても美しい女性だし、自分にぴったり合うすばらしい体形をしているよ」などとエヴがミス・フランスにふさわしいと認め、ショートカットで一世を風靡(ふうび)したオードリー・ヘプバーンやデミ・ムーアら映画スターと比較するコメントも。

 また、「女性のショートカットについて議論だなんて……この国は本当にどうかしてきたよ」「世界で初めてショートカットにしたに違いないエヴ・ジルを見て世界中の女性が嫉妬しただろうね」「人々は教養と優しさに欠けている。美は主観的なものだし、好む好まないにかかわらず、彼女は優勝したんだ」など、若い女性の容姿を批判する人々を幼稚であると嫌悪感を示す人々も少なくありませんでした。

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本人「女性はみんな違っていて、唯一無二の存在なんです」


ショートカットにしたのは3年前とのこと。最初は美容師に無理だと言われたとエヴ(画像はエヴ・ジルのInstagramから)

 大会優勝後の記者会見では「誰もあなたがどうあるべきかを決めるべきではありません」「私たちはロングヘアの美しいミスを見慣れています。でも私はショートカットの(両性の特徴を持つ)アンドロジナスなルックを選んだんです」と自身のスタイルについて堂々と述べたエヴ。体形への批判については「ボディーシェイミングは日常的に経験するものですが、それは特に重要ではありません。私たちはみんな不完全な部分を持っています。女性はみんな違っていて、唯一無二の存在なんです」と述べました。

 また、同大会を放送している仏テレビ局TF1に出演したエヴは、自身が「ミス・フランス」の紋切り型を切り崩したと思うかと問われ、「私は今までのミスとはもちろん少し違います。でも“ショートカットのミス”として知られたいわけじゃないんです。私にはもっと他のものもあるから」とコメント。

 「けれど、ミスになるためには従来通りじゃないといけないとかミスの学校に通わなきゃいけないとか、そんなことは全然ありません。今のままの自分で、望み、やりたいって思うだけでいいんです」とミスに立候補するにはそうありたい自分であるだけで良いと述べました。

 さらに多くの批判コメントに関しては、「ミス・フランスに批判はつきものだし、それに対して回答することが本当に重要なことかどうかわからない」とのこと。「時に物事は放っておく方がいいのかも。今日私を批判している人だって、明日には私を支持するかもしれません。私と会って話をして、“あの子悪くないね”って」と内面の強さをうかがわせるしなやかなコメントを残しています。

 このようにさまざまな主張が飛び交う中、一部からはそもそも女性が美しさを競うという同大会自体が性差別的であるとの声も。なお、審査は7人の女性審査員と視聴者がそれぞれ50%ずつの決定権を有する形で行われました。

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