「非常用持ち出し袋が役立つときが来るなんて」 能登半島地震の体験談漫画に「参考になった」の声(1/2 ページ)
非常用持ち出し袋の用意や定期的な点検の大事さが分かります。
「30年生きてきて、非常用持ち出し袋が役立つときが来るなんて思いもしなかった」――1月1日に発生した能登半島地震の体験を描いた漫画が「すごく参考になった」「体験談ありがたい」と反響を呼び、約2万6000件のいいねを集めています。
作者はイラストレーターで、X(旧Twitter)やブログに漫画を公開している、石川県在住の浜井れんこん(@mikanmanga)さん。浜井さんが住む地域は震度5強の揺れで、被害は棚のものが落ちた程度だったとのこと。
地震があった当日、夫は出勤しており、浜井さんは友人を招いて泊まりの新年会を開いていました。会のさなかに大きな揺れがあり、浜井さんは友人と肩を組んで娘を守ります。突然すぎて身動きがとれなかったという浜井さん、後に「そばにあったダイニングテーブルの下に入るべきだった」と振り返っています。
津波警報を受けて避難しようとするも、どこへ避難すればいいかなど考えることが多く、持ち物を準備しようにも何も浮かばず……「必要なものは全部入っていたはず」と、非常用持ち出し袋だけを持って家を出ました。非常用持ち出し袋に保険証のコピーとお金を入れていたため、財布を持たずに家を出られた点は幸運だったそうです。
このとき、どこに逃げればいいのか悩んだという浜井さん。「津波を想定した避難所をリサーチしていなかった」のは失敗だったと振り返っています。逃げる途中で、仕事へ行っていた義父から避難所を教えてもらったそうです。
避難所にたどりついた後、浜井さんは地震後に割れた食器で足をけがしていたことや、持ち出し袋の水の賞味期限が切れていたため(※)、袋から出したまま補充し忘れていたことに気付いたといいます。幸い、持ち出し袋に入っていた傷薬などですぐに手当てできたそうですが、地震のあとでけがをしないようスリッパをはくべきだったと失敗点を挙げています。
※適切な環境で保存されていれば、賞味期限を過ぎた未開封のペットボトルの水は飲んでも問題ないとされています。環境や製造工程に左右されるため、どれくらいの期間かは明言できず、賞味期限切れの前に飲み切ることが推奨されています(参考記事)
浜井さんは(夫も義父も災害時に出勤しなければならない仕事のため)、後から合流した義母、娘、友人と避難所で一晩過ごし、翌朝に帰宅。避難所では非常食や毛布が配布されたそうです。帰宅後、あらためて家の中を確認すると、本棚の本や写真立てが落ちてバラバラになっていたといいます。
「反省点等、反面教師にしていただけますと幸いです」「非常用持ち出し袋は定期点検をして必ず補充を!」。漫画はこう締めくくられています。
漫画では、「非常用持ち出し袋に保険証のコピーとお金を入れていた」「津波を想定した避難所をリサーチしていなかった」など実体験に即して幸運だった点、失敗した点が挙げられていて参考になります。他にも、避難所の自販機がおつり切れになってアプリでしか買えなくなっていたことが描かれており、複数の支払い手段を用意しておくことも大事だと分かります。
Xでは「家に帰れる程度の被災っていうのがリアルでとても参考になる」「防災リュックの中身、期限切れで抜いたまま補充してないとかまんま我が家過ぎて大反省」等のコメントが寄せられました。
ねとらぼ編集部では防災の備えについて浜井さんにお話を伺いました。
―― 非常持ち出し袋にはどのようなものを入れていましたか。その中で特に役に立ったものは何でしたか
浜井さん アルファ米、ラップ、カッパ、小銭3000円、懐中電灯、電池、携帯トイレ、メモ帳など。アルファ米を水でふやかしてラップでおにぎりを作れたのがよかったです。水を入れ忘れていたのが、反省点です。
―― 今後の備えとして、用意しようと思っている(あるいは既に用意した)ものはありますか
浜井さん 水をしっかり準備しました。子ども用に飴などを入れておこうと思っています。
―― 今回の経験を通じて伝えたいことやアドバイスなどありましたらお願いします
浜井さん 非常用持ち出し袋を用意してない方は、いざというときのために震災への備えをしてほしいです。
首相官邸サイトでは、災害の備えのチェックリストが掲載されており、非常用持ち出し袋に入れるものなどが挙げられています。また「東京備蓄ナビ」では3つの質問に答えるだけで、あなたのご家庭に合わせた備蓄品目と必要量のリストが表示されます。このようなサイトも参考にしながら、各家庭の事情に合わせて備えをしておきましょう。
作品提供:浜井れんこんさん(X:@mikanmanga/ブログ)
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