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「マッドマックス」45年の歴史と早逝した“相棒”の存在 名監督の現パートナーが語るヒットの法則 「マッドマックス:フュリオサ」プロデューサーインタビュー(1/2 ページ)

意外と知らない映画プロデューサーのお仕事。

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 「マッドマックス:フュリオサ」が5月31日から全国公開中。前作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」公開から9年、そして1作目公開から45年。ジョージ・ミラー監督が描き出すサーガに新たな1ページが刻まれます。

 シリーズ通算5作目となる新たな「マッドマックス」の主人公は、マックスではなくフュリオサ。前作「怒りのデス・ロード」に登場し鮮烈な印象を残したキャラクターで、フュリオサの若き日を描く最新作ではハリウッド最旬注目株のアニャ・テイラー=ジョイがこの役を演じています。

 敵対する“悪役”ディメンタス将軍には「マイティ・ソー」シリーズのクリス・ヘムズワースが配役され、過去作で演じてきたヒーローとは違った一面を存分に見せています。

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 ねとらぼでは、長年ミラー監督とタッグを組んで「マッドマックス」の世界観を作り上げてきたプロデューサーのダグ・ミッチェルにリモートでインタビュー。世界観やシリーズの舞台裏についてはもちろん、サーガ確立の立役者ながら33歳で早逝したもう1人のプロデューサー、バイロン・ケネディについても聞きました。


ダグ・ミッチェルプロデューサー

意外と知らない映画プロデューサーのお仕事

 映画を見ると必ず目に入る“プロデューサー”のクレジット。しかしどんな仕事をしているのかは意外に知られていません。もちろん作品やその人の特性によって負う役割は変わってくるものの、“ダグ・ミッチェルプロデューサー”の場合はどんな仕事をしているのか。率直な疑問にまず「ただのタイトル(肩書き)」と笑いながらも、「マッドマックス」シリーズのように大規模な予算を持つ映画ではダグが果たす役割は小さくないと教えてくれました。


5月31日から全国公開中の「マッドマックス:フュリオサ」

ダグ・ミッチェルプロデューサー(以下、ダグ) 「映画を作るためクリエイティブなスキルはもちろん必要ですが、最終的には利益を得るためのビジネスです。1週間に300万ドル以上を費やし、8カ月間ではかなりの額になる。現場には1000人ものスタッフがいます。私にはどうすれば映画が完成するかだけでなく、どうすればお金を無駄にしないか、困難な場合はどうすればよいか、過去40年間にわたって学んできたスキルがあります」

ダグ 「映画製作はゲリラ戦みたいなもので、明日は何をして、今日は何を、と考える時間はありません。誰も人生で起きる出来事の全てをコントロールすることはできないし、ましてや映画セットで何が起こっているかは言うまでもありません。でもやらなくてはならない。特に危険なシーンには完璧に配慮しなくてはいけません」


大型改造車を使った危険なシーンはシリーズの見どころ

 「気付けばもう43年もジョージと一緒にいた」というダグ。今ではミラー監督がどこで何をしているのか、また何をしていないのか暗黙のうちに把握していて、根底にはお互いへの信頼があるといいます。どんなことがあっても監督をサポートし、日々を積み上げていった結果として作品ができあがります。

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 監督の才能を絶賛する一方で、「私に芸術的才能がないわけでも、ジョージの経済感覚が薄いわけではないけれど、七面鳥とワシが別の生き物であるように私たちができることは違う」と持ちつ持たれつ得意を生かしながら2人は数々の名作を生み出してきました。

 2人はお互いの名を冠した製作会社「ケネディ=ミラー=ミッチェル(Kennedy Miller Mitchell)」を作り、今回の作品にもクレジットされています。トップに含まれているのは、今は亡きミラー監督の盟友で、「マッドマックス」シリーズの生みの親でもあるバイロン・ケネディの名前です。

ダグ 「私は南アメリカで生まれ、スコットランドで教育を受けました。父の後を追ってロンドンで金融を学び資格を得てからオーストラリアへわたり、そこでバイロン・ケネディと出会いました」

ダグ 「ケネディは若くて優秀だった。彼はジョージと一緒に映画の仕事を始め、最初の『マッドマックス』を一緒に作り上げました。映画がヒットして、ケネディは利益の一部でヘリコプターを買い、そしてとても悲しいことにそのヘリが墜落して亡くなってしまったんです。その後すぐに、私はジョージのパートナーになりました」


ダグ・ミッチェルプロデューサーとジョージ・ミラー監督

 ダグはインタビュー中、繰り返し「ジョージの才能」に言及。オーストラリアの地方で育ったことが想像力を、無声映画を数多く視聴してきた体験が言葉を必要としない洗練されたアクションシーンを作る力を育んだとダグは分析します。そして今では「世界中を飛び回ってきた」というダグの経験が、ミラー監督の創造性の助けになり「マッドマックス」シリーズが世界中で受け入れられる要素にもつながったといいます。

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ダグ 「私がジョージを見てきて感じるのは、どんな出自の人も共感できるヒーローの物語を形にしているということです。当初は第1作目が成功した理由に本人はピンとこなかったようですが、ずっと後になって世界を旅するうちに、日本でのヒットはサムライカルチャーがあったからだと思い当たりました。デンマークではバイキング、フランス人は車輪のついた西部劇のようなものだと考え、同じくヒットへつながった。つまり私たちは、自然とバックグラウンドを補完してストーリーそのものに注目します」

ダグ 「そしてジョージの才能は、人間が互いに命を削り合う劇的な物語を描き出し、私たちを引き付けます。今日に至るまで45年の映画制作で何を成し遂げたか。それはアクションヒーローを追求して、物語を伝える方法を進化させてきたのです」

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