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「今年の漢字」発表はいよいよ明日! “選定方法や理由”“テレビ中継の裏側”など気になるギモンを運営に聞いた(1/3 ページ)

2024年でなんと30回目!

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 12月の風物詩として知られる「今年の漢字」(※)。その決め方や知られざる歴史を、日本漢字能力検定協会に聞いてみました。

※「今年の漢字」は公益財団法人 日本漢字能力検定協会の登録商標です


協会に残る一番古い写真。1996年の第2回の様子、選ばれた漢字は「食」。ちなみに、第1回は写真でなくネガファイル(!)だけが残されているとのこと

「今年の漢字」を発案したのは「墨爺(すみじい)」だった!?

―― 最初に、「今年の漢字」の企画を始めたきっかけを教えてください。

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日本漢字能力検定協会(以下、漢検): 「今年の漢字」は1995年に開始しました。「今年の漢字」を発案したのは、現在漢字ミュージアムの参与である大野博史です。ネット上では、通称「墨爺(すみじい)」とよばれています(笑)。

―― 墨爺! 「今年の漢字」を発表するとき、大きな筆に墨をつけているあの人ですね


墨爺こと大野さん。「今年の漢字」の歴史を長年見守ってきました

漢検: 漢検は1992年に文部省(現:文部科学省)より財団法人として認可されたばかりで、まだ知名度は高くありませんでした。大野は「漢検のことを知ってもらおう」と学校訪問をしていましたが門前払いされることも多く、悩んでいました。

 そんなときに考えたのが「きょうの漢字」という企画でした。当時協会のオフィスが入っていたビル(阪急桂駅近く)から垂れ幕を下げることで、電車の車内から見てもらおうと考えたのです。

 しかし「きょうの漢字」では誰が漢字を選ぶのか、選んだ理由はどうするのかと行き詰ってしまいます。その後、知り合いの助言から生まれたのが「今年の漢字」でした。1年の世相を漢字一字で表現してもらい、全国から募ることにしたことで「今年の漢字」は始まりました。

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2023年の第29回の写真。増税や定額減税が話題となったことから「税」の字が選ばれました

どうやって決まるの?

―― 「今年の漢字」はどのようにして決まるのでしょうか

漢検: 「今年の漢字」は一般募集で決まります。全国のみなさまから応募いただいた漢字の中から、応募数の多かった上位20位までの漢字を発表しています。また、応募数が1番多かった漢字は、清水寺にて発表しています。

 応募はWebサイトや全国の学校、商業施設などに設置する応募箱から可能です。応募箱の設置先も毎年募集しています。


協会の職員さんが応募箱を展示する様子。周囲には応募用紙も見えます

―― さきほど話題に出てきましたが、「今年の漢字」といえば清水寺での発表ですよね。そもそもなぜ清水寺の貫主(大寺院の住職)に字を発表してもらうことになったのでしょうか

漢検: 「今年の漢字」発起人の大野が、発表する舞台を考えた際、清水の舞台から飛び降りる気持ちで清水寺に飛び込みで訪問しました。その際、偶然居合わせた執事長が熱心に話を聞き、「おもしろい、やりましょう」と言ってくださり決まりました。

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気になる“テレビ中継の裏側”

―― 漢字の発表の瞬間は、よくテレビでも中継されています。このとき、テレビに映らない部分では、どんなことが行われているのでしょうか

漢検: 当日は朝から職員が清水寺に集まり、準備をしています。特大和紙の設置や受付・記者席の設営などを行います。毎年20社ほどの取材があり、各メディアの撮影位置はくじ引きで決めております。

 また、揮毫(きごう)された書は、その後1年の出来事を清めるとともに、新年が明るい年になることを願い奉納を行います。奉納後、書を本堂へ移動し、10日ほど清水寺本堂にて展示します。その後は弊協会漢字ミュージアムへ移動し展示いたします。


漢字ミュージアムで展示されている、歴代「今年の漢字」。一番手前にあるのは、第1回で選ばれた「震」です

―― 「金」はこれまでに4回選ばれているとのこと、二度選ばれた「税」「災」「戦」と比べてもダブルスコアです。これほど「金」が選ばれる理由は、なにかありそうでしょうか

漢検: 毎年、みなさまからの応募数が一番多かった漢字を揮毫しているので、過去と同じ漢字が複数回1位に選ばれることがあります。選ばれた理由は年によって異なりますが、「金」が選ばれた2021年・2016年・2012年・2000年に共通する理由は以下の通りです。

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  • オリンピックパラリンピックが開催され、日本人選手が活躍した年
  • 政治と金の問題が発覚した年

その他、新紙幣や硬貨の発行、スポーツや研究・建築などでの金字塔が打ち立てられたことなどが理由としてあげられます。


2022年は歴代二度目の「戦」。ロシアのウクライナ侵攻、円安・物価高との戦い、スポーツでの熱戦などからこの字が選ばれました。前回の選出は2001年で、アメリカ同時多発テロ事件が起こった年でした

日本漢字能力検定協会は2025年で“50周年”

―― 今回、取材の過程で「今年の漢字」がちょうど30回目であると知りました。30回にあたってなにかコメントがありましたら聞かせてください

漢検: 「今年の漢字」が30回も続き、年末の風物詩として多くの方に親しんでいただいていること、大変うれしく思います。今年は30回記念回として、Webサイトのリニューアルやロゴ制作、自治体とコラボレーションした特別展示(熊谷市「暑」、太宰府市「令」)などのイベントを行いました。より多くの方に「今年の漢字」に参加していただくことで、漢字の奥深さやおもしろさを感じていただく機会となるよう、今後も活動を続けていきます。


「今年の漢字」が書かれる前の和紙と筆。2024年はどんな字が選ばれるのでしょうか

―― 今後の展開や計画があれば教えてください

漢検: 日本漢字能力検定協会は来年の2025年に“50周年”を迎えます。日本語・漢字を学ぶ楽しさを提供し豊かな社会の実現に貢献するため活動をしています。

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 漢字検定は、質向上はもちろん、場所や時間にとらわれず受検機会を提供できるよう、自宅で受検できる「漢検オンライン」を開始しました。昨今、小学生の受検者が増えていることから、漢字をより楽しく勉強してもらえるよう、「漢字謎解き」の問題制作を進めています!

 30周年となる「今年の漢字」は、今年に引き続き、過去の「今年の漢字」にゆかりのある地で展示をする出張「今年の漢字」を行うことで、京都だけでなく各地の方に「今年の漢字」を身近に感じてもらえるよう活動する予定です。協会の取り組みを公式XInstagramで配信していますので、気になる方はぜひフォローしてください!

※取材・画像協力:日本漢字能力検定協会

文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)

クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強~知らないとヤバい事~』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供する。2023年、「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。

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