ジブリでのアニメーター27年間を振り返る回顧録 「エンピツ戦記‐誰も知らなかったスタジオジブリ」発売

トトロからマーニーまで――裏方を務めた舘野仁美さんから見たスタジオジブリの世界は。

» 2015年11月09日 19時47分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]
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 スタジオジブリで「となりのトトロ」から最新作「思い出のマーニー」までアニメーターを務めた舘野仁美さんが、在籍した27年間を振り返る書籍「エンピツ戦記‐誰も知らなかったスタジオジブリ」が、11月25日に中央公論新社から発売されます。

舘野仁美 表紙イラストは同じく元ジブリの大橋実さんが描き下ろし

 同書は、スタジオジブリの小冊子「熱風」で連載していた同タイトルを、加筆もしながら1冊の単行本にまとめた回顧録。ジブリでは動画チェックを中心にアニメーターを担当し、現在は東京・西荻窪で喫茶店「ササユリカフェ」を営業している舘野さんが、ジブリ時代の宮崎駿監督や高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーやスタッフとのエピソードをつづっています。

 連載のきっかけとなった鈴木さんによる序文「メイちゃんの誕生」も収録。表紙イラストは同じく元スタジオジブリのアニメーター・大橋実さんが描き下ろし、貴重な写真など多くの図版も収めています。価格は1512円(税込)。中央公論新社でのキャッチコピーは「『スタジオジブリに嫁いだ』アニメーターによる、とっておきのエピソード」――アニメーターとして裏方に徹した人物から見たスタジオジブリの世界、そしてそこから学び取ったことはどのようなものなのでしょうか。

目次

メイちゃんの誕生(スタジオジブリ鈴木敏夫)

はじめに(舘野仁美)

プロローグ

1 ジブリ王国の門をくぐる、エンピツ戦士

2 ジブリの森で宮崎監督に雷を落とされる

3 師匠たちに怒られながら、腕をみがく日々

4 トレスマシンと格闘し、スケジュールに追いかけられる

5 光があれば、闇もある。表現者はなにを考え、どう動くべきか

6 いいアニメーターの条件とは? 教える立場になって思ったこと

7 ジブリを巣立つ日。そして人生は続く

エピローグ

エンピツ戦記外伝――構成者あとがき(平林享子)

プロローグより

 私はスタジオジブリで長年、アニメーターとして働いていました。とくに動画チェックと呼ばれる作業を担当していました。

「動画チェックってどんな仕事?」

そう思われる読者の方も多いかもしれませんが、簡単に言うと、アニメーターが描いた線と動きをチェックする仕事です。動画の線は、アニメーションが生きるか死ぬかの生命線であり、その品質管理をする仕事です。

というと、なんだかすごくカッコいい仕事のようですが、アニメーターの仕事の中で、いちばん地味で目立たない裏方で、まさしく縁の下の力持ちであることを求められます。

裏方であるはずの私が、鈴木敏夫プロデューサーの鶴の一声で、なぜか回顧録を書くことになってしまいました。

(中略)

それは、私の思い出であると同時に、ジブリで一緒に働いていたスタッフみんなの思い出でもあります。できるだけ、みんなの声や思いも伝えたいと思いながら書きました。

このような機会を与えてくださった宮崎さんと鈴木さん、そして、ジブリで一緒にすごした多くの仲間たちに、心からの感謝をこめて。

舘野 仁美(たての・ひとみ)

1960年、福島県生まれ。アニメーター。東京デザイナー学院アニメーション科卒業後、テレコム・アニメーションフィルムを経て、スタジオジブリに参加。『となりのトトロ』から『思い出のマーニー』まで、数多くのジブリ作品に携わる。2014年、スタジオジブリを退職。同年12月、東京・西荻窪に「ササユリカフェ」をオープン。

平林 享子(ひらばやし・きょうこ)*本書の構成を担当

1967年、大阪府生まれ。編集者、ライター。早稲田大学教育学部卒業。フリーを経て2008年、スタジオジブリ入社。出版部に所属し、ジブリの広報誌『熱風』のほか、宮崎駿著『折り返し点 1997〜2008』などの編集を担当。2014年、スタジオジブリを退職。その他の編集と構成を担当した本に、坂本龍一他著『縄文聖地巡礼』など。

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