映画「バービー」を「ハリウッドの幼児化」と毒舌批判 オリバー・ストーンが過去の発言を謝罪「無知だった」(1/2 ページ)

いまだ「言わされてる?」との邪推も。

» 2024年01月25日 21時02分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 米映画監督のオリバー・ストーンが1月23日、映画「バービー」を散々にこき下ろしたことについて謝罪声明を発表。映画「プラトーン」(1986年)「ウォール街」(1987年)「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994年)などあまたの名作を手掛けてきた巨匠が近年の映画を痛烈に批判した当時、監督はまだ作品を「見ていなかった」と釈明しています。

オリバー・ストーンが映画「バービー」を批判したことに謝罪 SNSに謝罪声明を発表した監督(画像はオリバー・ストーンのInstagramから)

「最近の映画は……」 77歳の巨匠がぶった切る

 ストーン監督は2023年6月22日に公開された英City A.M.紙のインタビューで、インタビュワーがバービー人形を販売する玩具会社「マテル」のCEOとのあいだで映画「バービー」続編をストーン監督にお願いしたいと冗談をかわしたことを明かすと、「ばかばかしい」と一蹴。「ライアン・ゴズリングは金のためにあんなことをやってるのなら時間の無駄。彼はもっとシリアスな映画にでるべき。ハリウッドの幼児化に加担すべきじゃない」と歯に衣着せぬ物言いで辛口批評を飛ばしました。

 さらに、「今は全部、ファンタジー、ファンタジー、戦争映画までがファンタジー。『ワイルド・スピード』も以前は楽しんで見たが、いまはマーベル映画みたいになってしまった。何回クラッシュするんだ」と矛先は「ワイルド・スピード」シリーズにまで及ぶことに。それだけではまだ終わらず、機内でキアヌ・リーブス主演のフランチャイズ映画「ジョン・ウィック」を見たと述べ「途中778回くらい眠ったよ。起きたら彼が人を殺してる。世界は非論理に落ちていったようだ」と今の映画界業界全体への不満をぶつけるかのように感想を述べました。

ストーン監督「無知だったことをおわびします」

 すでに前評判の高かった「バービー」に毒舌を展開するこのインタビューを多数のメディアが書き立てる中、7月に全米公開(日本公開は8月)されると、同作の興行成績は大成功を収めることに。さらにアカデミー賞前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞では興行成績賞と主題歌賞の2冠を達成、アカデミー賞でも8部門へノミネートされたことで、ストーン監督の発言が掘り起こされ再び報じられることとなりました。

 ストーン監督がそれらの記事をいつ、どれほど目にしたかはわかりませんが、1月23日にX(Twitter)やInstagramなどで公開した声明で、「尊敬する『Deadline』紙が、映画公開の数週間前に私が『バービー』について述べたセンセーショナルで脈絡のないコメントを掲載したことに落胆しました」と米紙の記事を目にしたことがきっかけと言及。「当時、私は原子力のドキュメンタリーについての欧州でのプロモーションで忙しく、このプロジェクトについてタイトル以上のことを知りませんでした」とドキュメンタリー作品「NUCLEAR NOW(原題)」にかかりきりであった状況を説明しました。

 続けて「7月に劇場で『バービー』を見ることができ、この映画のオリジナリティーとテーマを高く評価しました。制作者のアプローチは私が考えていたものと確かに違っていました。無知だったことをおわびします」と評価をあらためて真摯(しんし)に謝罪。

 そして「グレタ・ガーウィグ監督による2017年の映画『レディ・バード』はその年の私のお気に入りだった。『バービー』の興行収入は、私たちの仕事に対するやる気を高めてくれたし、それは歓迎されるべきこと。グレタと『バービー』チームのアカデミー賞での健闘を祈ります」と結んでいます。

「正直で善良」「圧力があったのでは」とさまざまな反応

オリバー・ストーンが映画「バービー」を批判したことに謝罪 インタビューを受けるオリバー・ストーン監督(画像はオリバー・ストーンのInstagramから)

 事の発端となった、6月公開のインタビューを受けた時点で「バービー」をみておらず、実際にみたのは7月だったと述べたストーン監督。6月の時点で同作は前評判も高かった一方、米国で同日公開予定だった「オッペンハイマー」と一緒に語られることが多く、「バーベンハイマー(Barbenheimer)」と称され原爆を軽視するネットミームが流行。それを「バービー」の公式アカウントが肯定するかのような投稿が、日本で非難されていたころでもありました。

 今回のストーン監督による謝罪には、「オリバー、正直で善良な男でいてくれてありがとう」「私は『バービー』も『オッペンハイマー』も好きではないけど、あなたは紳士だ」と真っすぐに謝る姿勢がすばらしいとする声や、「いいんですよ。でも、次は見る前から映画を批判するようなことはやめてくださいね。自分の映画でそんなことされたらいやでしょ」とするコメントが寄せられました。

 一方、「僕はあなたの発言に同意しますけどね。『バービー』はどの賞にも値しないよ」「誰が黒幕なのかはあきらか」「このハリウッド・マテル社のメガ予算映画について、誰がどんな意見を持っていてもいっこうに構わないよ。あなたみたいな高名な人が、こんなくだらないことに土下座しなければいけない世界にいるなんて」など、ストーン監督の作品批判に同意するという声や、謝罪するよう圧力があったのではと臆測からのコメントも寄せられています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた