映画「バービー」を「ハリウッドの幼児化」と毒舌批判 オリバー・ストーンが過去の発言を謝罪「無知だった」(1/2 ページ)
いまだ「言わされてる?」との邪推も。
米映画監督のオリバー・ストーンが1月23日、映画「バービー」を散々にこき下ろしたことについて謝罪声明を発表。映画「プラトーン」(1986年)「ウォール街」(1987年)「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994年)などあまたの名作を手掛けてきた巨匠が近年の映画を痛烈に批判した当時、監督はまだ作品を「見ていなかった」と釈明しています。
「最近の映画は……」 77歳の巨匠がぶった切る
ストーン監督は2023年6月22日に公開された英City A.M.紙のインタビューで、インタビュワーがバービー人形を販売する玩具会社「マテル」のCEOとのあいだで映画「バービー」続編をストーン監督にお願いしたいと冗談をかわしたことを明かすと、「ばかばかしい」と一蹴。「ライアン・ゴズリングは金のためにあんなことをやってるのなら時間の無駄。彼はもっとシリアスな映画にでるべき。ハリウッドの幼児化に加担すべきじゃない」と歯に衣着せぬ物言いで辛口批評を飛ばしました。
さらに、「今は全部、ファンタジー、ファンタジー、戦争映画までがファンタジー。『ワイルド・スピード』も以前は楽しんで見たが、いまはマーベル映画みたいになってしまった。何回クラッシュするんだ」と矛先は「ワイルド・スピード」シリーズにまで及ぶことに。それだけではまだ終わらず、機内でキアヌ・リーブス主演のフランチャイズ映画「ジョン・ウィック」を見たと述べ「途中778回くらい眠ったよ。起きたら彼が人を殺してる。世界は非論理に落ちていったようだ」と今の映画界業界全体への不満をぶつけるかのように感想を述べました。
ストーン監督「無知だったことをおわびします」
すでに前評判の高かった「バービー」に毒舌を展開するこのインタビューを多数のメディアが書き立てる中、7月に全米公開(日本公開は8月)されると、同作の興行成績は大成功を収めることに。さらにアカデミー賞前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞では興行成績賞と主題歌賞の2冠を達成、アカデミー賞でも8部門へノミネートされたことで、ストーン監督の発言が掘り起こされ再び報じられることとなりました。
ストーン監督がそれらの記事をいつ、どれほど目にしたかはわかりませんが、1月23日にX(Twitter)やInstagramなどで公開した声明で、「尊敬する『Deadline』紙が、映画公開の数週間前に私が『バービー』について述べたセンセーショナルで脈絡のないコメントを掲載したことに落胆しました」と米紙の記事を目にしたことがきっかけと言及。「当時、私は原子力のドキュメンタリーについての欧州でのプロモーションで忙しく、このプロジェクトについてタイトル以上のことを知りませんでした」とドキュメンタリー作品「NUCLEAR NOW(原題)」にかかりきりであった状況を説明しました。
続けて「7月に劇場で『バービー』を見ることができ、この映画のオリジナリティーとテーマを高く評価しました。制作者のアプローチは私が考えていたものと確かに違っていました。無知だったことをおわびします」と評価をあらためて真摯(しんし)に謝罪。
そして「グレタ・ガーウィグ監督による2017年の映画『レディ・バード』はその年の私のお気に入りだった。『バービー』の興行収入は、私たちの仕事に対するやる気を高めてくれたし、それは歓迎されるべきこと。グレタと『バービー』チームのアカデミー賞での健闘を祈ります」と結んでいます。
「正直で善良」「圧力があったのでは」とさまざまな反応
事の発端となった、6月公開のインタビューを受けた時点で「バービー」をみておらず、実際にみたのは7月だったと述べたストーン監督。6月の時点で同作は前評判も高かった一方、米国で同日公開予定だった「オッペンハイマー」と一緒に語られることが多く、「バーベンハイマー(Barbenheimer)」と称され原爆を軽視するネットミームが流行。それを「バービー」の公式アカウントが肯定するかのような投稿が、日本で非難されていたころでもありました。
今回のストーン監督による謝罪には、「オリバー、正直で善良な男でいてくれてありがとう」「私は『バービー』も『オッペンハイマー』も好きではないけど、あなたは紳士だ」と真っすぐに謝る姿勢がすばらしいとする声や、「いいんですよ。でも、次は見る前から映画を批判するようなことはやめてくださいね。自分の映画でそんなことされたらいやでしょ」とするコメントが寄せられました。
一方、「僕はあなたの発言に同意しますけどね。『バービー』はどの賞にも値しないよ」「誰が黒幕なのかはあきらか」「このハリウッド・マテル社のメガ予算映画について、誰がどんな意見を持っていてもいっこうに構わないよ。あなたみたいな高名な人が、こんなくだらないことに土下座しなければいけない世界にいるなんて」など、ストーン監督の作品批判に同意するという声や、謝罪するよう圧力があったのではと臆測からのコメントも寄せられています。
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