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「エヴァの原点はウルトラマンと巨神兵」――庵野秀明が語り尽せない「特撮」への愛「特撮博物館」にかける思い(4/4 ページ)

「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」――庵野秀明監督が“館長”を務める展覧会「特撮博物館」が開かれる。発表会では樋口真嗣監督やスタジオジブリの鈴木プロデューサーも加わり、特撮への“愛”を語った。

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「庵野に頼まれるなら仕方ない」と宮崎駿監督

 展覧会で上映される「巨神兵東京に現る」の内容はとても気になるところだ。展覧会のキャッチコピーには「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」とあり、巨神兵には注目せざるを得ない。

鈴木 短編は何で作ることになったんだっけ?

庵野 鈴木さんが「映像見たい」って言って。

鈴木 えっそうなの? 「映像も作ろう」と庵野さんが言い出したんですよ。

庵野 え、そうだっけ?

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鈴木 で「すぐに巨神兵を使おう」と言ったんだよ。そのときの会議はスタジオジジブリのなかでやっていて、巨神兵は風の谷のナウシカに登場するので、じゃあ「原作者(宮崎駿監督)のところへ行こう」って言って、本人に話して。そしたら「いいよ!」って即答で「庵野に頼まれるなら仕方ない」と。

庵野 でも「ナウシカは出すな」って言われたよね。

鈴木 「どうせ巨神兵が東京を壊すんでしょ。とっくに壊れてるのに」って宮さん(宮崎監督)が言ってね。

樋口 「巨神兵東京に現る」でこだわったのは、撮影のための巨神兵を誰に作ってもらうか。そこで、造形作家の竹谷隆之さんに作ってもらうしかないと。撮影は最初なめてかかってたんですよ。昔ながらのものを並べてたらいけると思ったら、結構大変ですね。

鈴木 (「巨神兵東京に現る」の中身は)宮崎監督に一切見せてない。どうしてか? それは言葉を選ばないと行けないんですけど……(宮崎監督は)人が作ったものが好きじゃないんでね(笑)。巨神兵のデザインだけは見せました。一応免疫をつけてもらおうと思って。見た途端くすっと笑ってましたね。映画はいつ見せようか悩んでいる。後戻りできないくらいのタイミングが良いかなと思っているだけどね。

 「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」というキャッチコピーの意味は?――と会場から質問が飛ぶ。

庵野 これはね、鈴木さんが考えたコピーですよ。鈴木さんの思い込みですからね。

鈴木 特撮博物館って聞いたときにね、なかなかお客さんにきてもらうのが難しいかもしれないと。だから宣伝コピーは強烈でいく!

庵野 まあ、あながち間違いではないので大丈夫でしょう。

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「ええっもうまとめ?」と名残惜しそうな庵野監督

 最後に抱負を――と促す司会者。庵野監督は「ええっもうまとめ?」と名残惜しそうに言葉を続ける。

庵野 特撮という僕が大好きなものが消えつつあると思う。多分消えるんです。でもこういうものがあったということは残しておきたい。可能な限り残したい。これはその願いの第1歩でしかない。常設的な特撮展示が理想だが、それが無理でもミニチュアの保存などをちゃんとやってくれるところがあればと思っている。団塊の世代がぎりぎり味わっていた面白さみたいなものをできる限りのお金と時間を使って残したい。

 展覧会は良いスタッフが集まって良い展示になっている。今これができるのか、というくらいぎゅっと詰まったものになっている。

 特撮というのは国にはあまり認めてもらえてなくて、以前文化庁に連絡をとったこともあるが、これら(特撮の小道具やミニチュア)はゴミらしいんでね。でも美術館で展示するということは、美術品ですから。国にはゲームやアニメだけじゃなく、特撮に関してもお金と人を回して欲しいと切に思う。

鈴木 日本人はいろんなことを小さくするのが好きだと思う。(例えば)庭は自然を空間に押し込めたもの。小さくして表現するというのは特撮だけじゃなくずっとやってきたことなんです。

 展覧会には色んなものが予想を超えて集まりつつあって目を見張る。「巨神兵東京に現る」は、宮崎駿が見ても「巨神兵を貸して良かった」と思えるものになりつつあるので、多くの人をご覧いただければ。

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 特撮博物館の開催期間は7月10日〜10月8日。チケットは、当日券が大人・大学生1400円、中高年900円、小学生400円。前売り券は大人・大学生1300円、中高年800円、小学生300円。巨神兵像のレプリカやカプセルフィギュアも販売する。

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