2次元カノジョの唇はふにふにだった! 次元を超えたキス(物理)もできる「キラキラ☆六本木OcuFes」で新時代を体感してきたぞ
トキメキからハラハラまで、開発元に「日本はベクトルが違う」と言わしめた独自のOculus文化にドキドキ。
最近ニュースや各種メディアなどで取り上げられ、大注目のVR(バーチャルリアリティ)ヘッドセット「Oculus Rift」。しかし実際に体験した人はまだまだ少数なのではないでしょうか。百聞は一見にしかず、とりあえずかぶってみよう! ということでOculus Riftの発展と普及につとめる開発者団体「OcuFes」のイベントで、2次元の彼女とデートしたりキスしたり、バイクで宙を飛んだり――Oculusゲーム開発の“今”を体験してきました!
2014年6月24日、六本木ブルーシアター(東京都港区)で行われた通算12回目の「OcuFes」である「キラキラ☆六本木OcuFes」。スタイリッシュな会場ロビーに一歩足を踏み入れると、一列に並べられた机の上には黒いヘッドセットがずらり勢ぞろい。22ものソフトが展示されており、午後7時の開場と同時に参加者が殺到していました。
2次元カノジョとリアルにキスしちゃったよ
最初に体験したのは初音ミクに触ることができる「きゅーこん」さん作成の「みくじゃらす」。頭にOculus、そして右手にパワーグローブを装着し、ミクさんと同じ世界へダイブします。おっ、視界に自分の右手がしっかりと表示されていますよ。手のひらを開いたり閉じたりすると、視界に映る自分の手も同じように動いています。
さっそくミクさんに駆け寄ってツインテールに触れてみると……照れた! 照れながら笑顔を浮かべています! さらにネクタイを引っ張ってヒラヒラさせてみたり、肩に触ったり頭を撫でてみたりするとミクさんがリアクションしてくれました。指先には振動も感じます。うわー、これはミクさん実在しますね……今ならなんでもできそうな気がする! と調子に乗ってつい触りすぎたところ目からビームを発射されてしまいました。2次元の世界もそんなに甘くない。
次に体験したのは、「aimino」さんが作成した「公園彼女」というビジュアルノベルとOculusの融合型ゲーム。ゲーム内の自分はどうやら公園のベンチに座っているようです。横を向いてみると、黒髪ロングヘアーで制服姿の彼女がいました(ガッツポーズ)。ヘッドフォンから聞こえてくるのは彼女の声です。「ねぇ、今日の生物のテスト、どうだった?」と話しかけてくるので、首を縦に振ってみたところ会話がトントンと進んでいきました。
作中、彼女の話にたびたび登場する「田中先輩」に嫉妬した筆者。「やいてるの?」と聞かれたので「YES」を示すように首を縦に振ったところ「うわっ、素直」と彼女が驚きの表情を浮かべます。なにこれ幸せ。彼女と見つめ合いながら、たあいない会話でイチャイチャを満喫。自分の反応が直接彼女に伝わっているところが没入感をアップさせています。「そろそろ帰ろうか」の問いには首を横に振り「NO」と答えてみましたが……ここから先のシナリオはどうか自ら体験してニヤニヤしちゃってください。
もう現実の彼女いらないんじゃないかなー。そんな現実逃避をさらに加速させてしまうのが、今回のOcuFesでひときわ長い行列ができていた「キス彼女」。なんと次元の壁を越えて仮想空間の彼女とキス(物理)ができるらしい。並んでいる最中、ほかの参加者の方が無我夢中で顔を前に突き出している様子を見て「この人たち一体何やってんだろう」とやや恐怖を覚えましたが、思い切って体験してみることに。「唇に触れるための機構」があらかじめ装備されているOculus本体をかぶると、目の前にはメガネっ子の彼女がもじもじと恥らっていました。少しだけ身をかがめ、彼女に向けて顔を突き出してみると、タイミングよく唇にあたる「ふにっ」とした感触に思わず「んんんっ!?」となり筆者赤面、彼女も赤面。これは……新しい時代きちゃったな。
製作した「あるしおうね」さんは唇(実はグミ)部分のサランラップを取り換えながら「もともとは自分用のネタで、一般に展示する予定はなかったんですけどね」と話していました。公開してくれてありがとうございます!
「マジでヤバいやつ」を体験
「うおおおお!!」「こえええええ!」――男性の野太い悲鳴が会場後方から聞こえてきました。地図で出展ソフト名を確認すると「これはマジでヤバいやつ!!!」というタイトル。ヤバそう。
これはモトクロスバイクにまたがり空中ジャンプをライダーの視点で体験できるというゲーム。「Red Bull」のイベントなどで公開されていたそうです。でもヘッドセットとヘッドフォンを装着しているだけでしょ? 両足も地面についているし怖くないんじゃないの? ……と見くびっていた自分を叱りつけてやりたい。土煙をあげながらだんだんと加速していくバイクは高くそびえるジャンプ台を走り抜け、体は宙に放り出されます。ハンドルにしがみついていないと本当に落ちてしまいそうです。リアリティのある滞空時間の長さ、そして落ちていく瞬間、みぞおちの部分に重力を感じおもわず悲鳴が。会場内に風は吹いていないはずですが、突風で全身が前後にもっていかれるような錯覚を覚えました。助けて! バイク止めて! と言う隙もないほどジャンプが繰り返され、浮遊感に気が遠くなったところでゲーム終了。気づけば背中は汗でびっしょりです。これはマジでヤバいやつだった。
ほかにも人型入力デバイスQUMARION(クーマリオン)と連動させることによって、ユニティちゃん(Unityのマスコットキャラ)に好きなポーズをとらせることのできる“大人の人形遊び”「OcumaRion」や、2人組で廃墟を探検するホラー「HauntedRift5」、手からワイヤーを発射させてスパイダーマンのように天井をたどっていく「Pendulus」など画面の向こう側に干渉できるゲームが数多く発表されていました。
しかし、ゲーム要素が色濃いコンテンツだけではありません。谷口直嗣さんが発表していたのは頭蓋骨の中を覗く「頭蓋骨の中からこんにちは」というソフト。CTスキャンによる精度の高い頭蓋骨内部の画像に入り込み、目や鼻の穴から外を見て、脊髄(せきずい)を通って骨の真下から頭蓋骨を見上げるという絶対に不可能なことを体験可能。医療分野におけるOculus活用の可能性を見出すことができます。さらに色覚異常の方が普段身の回りのものをどのように見ているのか体感し、理解を深める「色のシミュレータ for Oculus」なども展示されており、単なる娯楽にとどまらず、Oculusを通して世の中をより良いものにしたいという願いがこめられていると感じました。
次元の壁を乗り越えて目の前の「あの子」に触れたり、デートしたり、キスをしたり――現実のリアクションを通して架空の世界に干渉できる驚きと喜びにあふれていた今回の「OcuFes」。Oculus VR創業者のPalmer Luckey氏をして「まったくベクトルの違う」ものといわしめた日本の開発者が生み出すソフトの力やコミュニティーの力、そして独自に発展を遂げている日本のOculus文化土壌の豊かさをあらためて実感し、胸がドキドキと高鳴りました。「日本全国民、1億人にVR文化を体験させる」ことを掲げている「OcuFes」はこれからもイベントを開催していくそうですので興味を持った方は参加してみてはいかがでしょうか。ヘッドセットの向こう側にはまだ見たことのない未来の風景が広がっています。
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