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“Ingress紳士”に夜の国立競技場前で出会った話 世界最高レベルのエージェントに聞くその極意Google発、世界規模の陣取り合戦(3/3 ページ)

夜の国立競技場前。Ingressをプレイしていた筆者は見知らぬ男性に声をかけられた。その名はirmareさん。なんと世界最高レベルのIngress紳士だったのだ。

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――β時代と現在の雰囲気は何か違いますか。

 人口が増えたことで空気感は変わりました。2013年は記憶できる人数というか、だいたいIDが把握できて、関係性もなんとなく分かる。相手を知っているからこそ競争が激しくなる(笑)。正式版リリース後もまだ追えたんですが、iOS版以降は全然違うステージに入りました。今は誰が攻撃してるかわかりません。そうすると競い合う気持ちは減ってきますね。

――今後は代わりに大規模な作戦が増えてきそうですね。

 はい。ニューヨークで1600のリンクを一晩で繋ぐ企画をやっていました。日本もできると思いますよ(笑)。#HELIOSも盛り上がっているようです。

――最後にメッセージをお願いします。

 Ingressは来年もプレイしていると思います。青プレイヤーのみなさん、よろしく!


Adventures on foot

 「自分の周りに何があるのかをもっとよく知る。自分の足で歩いて、自分の目で発見する。自分の身の周りを幸せにする。それが世界中で起これば、世界はよくなる」(ジョン・ハンケ)

 前半で少し触れた日本人メンバーの川島さんは、ブログやSNSでIngress関連の情報を積極的に発信している。上記のコメントは、昨年11月の「Niantic Labsに移籍しました」というエントリー内に出てくる。Googleには各自のミッションを3つの単語で示す文化があるそうで、ジョン・ハンケさんのは “Adventures on foot” 。「家から一歩も出なくても、世界のあちこちが見えるGoogle Earthやストリートビューを作った末に、行き着いたのが『Adventures on foot』なのが面白い」と川島さんはいう。

 外に出て、動くことの重要性。思想家の東浩紀さんは著書「弱いつながり」で、ネットワーク理論で有名な“弱い絆”(ノイズに満ちたもの)をピックアップし、ネットは同じ考えの人の繋がり(強い絆)を強化するメディアで、現在はノイズを排除する技法(ブロック・ミュートなど)が発達してるから、「リアルでノイズをいれること」をあらためて推奨している。その手段の1つが観光だ。移動時間もネットでは経験できないが、そういう体感が「前から知っていた見方」を変化させる。

 Ingressは現実を舞台にすることでノイズを受け入れている。それが想像を超えた体験に繋がるのだろう。もちろん良いことばかりという保証はない。興味深いのはこうしたコンセプトのゲームは過去にもあったが、これだけ大規模に浸透するのは初めてということだ。今後どう展開していくのか、今から楽しみだ。

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