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宮城県南三陸町にある前期三畳紀の海の地層「大沢層」より脊椎動物の糞化石60点以上が発見された。糞化石に含まれる脊椎動物の骨から古生代末の大量絶滅の直後、海の生態系が復活した証拠になるのではないかと見られている。
独ボン大学の中島保寿博士研究員と東京大学大学院理学系研究科の泉賢太郎大学院生が、「Palaeogeography,Palaeoclimatology,Palaeoecology」(Elsevier)に発表した。
約2億5000万年前の古生代と中生代の境界では、海の生物のうち約95%の種が絶滅し、食物連鎖の構造の複雑さが一度失われたことが分かっている。これまでは生態系の回復には500万年以上を要したと考えられてきたが、糞化石の内容物でもっと早い時期に回復していたことを証明した。大量絶滅の直後にあたる前期三畳紀(約2億4700万年前)の海の動物については化石が発見されることもまれで、生物多様性を低く見積もり過ぎた可能性が指摘されている。
糞化石は大きさが数ミリのものから7センチほどで、大小さまざまな大きさの遊泳性の脊椎動物に由来するものだと分かっている。一部には硬骨魚類などの小さな脊椎動物に由来する骨が包有されており、このことから「大沢層の堆積した前期三畳紀の海には、無脊椎動物と大型の脊椎動物のほかに小型の脊椎動物が共存し、脊椎動物の一部は他の脊椎動物を捕食していた」と結論。生態系回復の速度について新しい見解をもたらした。
糞化石が発見された南三陸町など国内のフィールドには、生物の進化と生態系の発達を理解する上で重要な化石がいまだ多く眠っている可能性も指摘されている。
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