カナダのマギル大学は8月28日(日本時間)、空気呼吸できる淡水魚・ポリプテルスを陸上で飼育したところ、歩き方や形態が変化したと発表しました。研究成果をまとめた論文が英科学誌ネイチャーに掲載されています。
ポリプテルスは、熱帯アフリカに生息する淡水魚。10種以上いて出現時期は4億年前にさまのぼることから「古代魚」「生きた化石」と呼ばれています。
名前の由来は、「多くの(ポリ)ひれ(プテルス)」で、実際に背中に複数の背びれがあり、はうように移動することも可能です。また2つに分かれた浮き袋でエラ呼吸・空気呼吸できることが特徴。さらに両生類のように外鰓(そとえら)があり、こうした特徴から魚類と両生類に進化する分岐点にあると考えられています。
そして、生物学ではデボン紀(約4億1600万年前〜3億5920万年前)に河川域の魚のグループが4本足に進化し、今日の両生類・哺乳類につながったとされています。ただし、その過程は明らかになっていません。
マギル大学の研究チームはこのたび、その謎を解明するべくポリプテルスによる実験を実施。約1年陸上で飼育したところ、ひれの骨が変化し、歩き方まで変わったそうです。水の中で育てたポリプテルスよりも、ひれを体の近くに寄せ、頭を高く上げてより効果的な歩き方になっていたとのこと。これは「環境に適応した」結果であり、ラーション博士は次のようにコメントしています。
「こうした解剖学的、行動的な変化の多くは化石の記録と似ているため、我々が目にした行動の変化は化石魚類が初めて陸上をひれで歩いたときに起きたかもしれない現象を反映していると仮定できる」
「我々の知る限りでは、この研究は後に遺伝的に固定されるかもしれない解剖学的・行動的変化に初めてたどり着くことで、(生物が環境の変化に応じて変化する)発生可塑性が大規模な進化的変遷を促進した可能性を示す初の例だ」とも同氏は述べています。生物の進化の謎を解く一助となりそうです。
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