3月3日の行事といえば、一般的には「ひな祭り」ですが、「耳の日(33=みみ)」でもあります。1956(昭和31)年に日本耳鼻咽喉科学会が制定したもので、HPによると「難聴と言語障害をもつ人びとの悩みを少しでも解決したいという、社会福祉への願いから始められた」とのこと。電話を発明したグラハム・ベルの誕生日が3月3日で、ベルはろう教育者でもあったそうです。顔の中で、どちらかというとあまり注目を浴びる機会の少ない耳ですが、耳の日に寄せて、耳よりな知識や耳に関するトリビアをご紹介します。
音を聞くしくみ
そもそも耳はどうやって音を聞いているのでしょうか。子どものころに学校で習った気がしますが、簡単におさらいしてみましょう!
耳は外耳、中耳、内耳の3つに分けられ、私たちが普段目にしているのは外耳の部分。音は、軟骨が皮膚で覆われた耳介がパラボラアンテナのように集めて、外耳道を通り鼓膜を振動させて中耳へ向かいます。
中耳は空洞ですが、音は3つの耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)を伝わって増幅。内耳の蝸牛(かぎゅう)に伝達されると、音の高低・強弱を分析して、電気信号に変換されます。この信号が蝸牛神経を通じて大脳に伝えられると、大脳の聴覚が信号を音として認識するので「音が聞こえた」となるわけです。
耳の役割は他にもある
耳は単に音を聞くだけではなく、さまざまな働きがあります。よく知られているのは気圧の調節機能。
高速エレベーターに乗った時や、飛行機の離着陸などで耳が痛くなることがありますが、これは急激に高くなった外気圧で鼓膜が内側に引っ張られるために起こります。つばを飲み込んだりキャンディを舐めたりすると和らぐのは、中耳にある耳管が開いて中耳腔(鼓膜から内耳までの空洞)と外気の気圧を調節するからです。
また、内耳には平衡感覚をつかさどる三半規管があり、回転を感知しています。前転したり、ダンスなどでターンをしてもバランスが取れ位置関係がわかるのは、三半規管のおかげ。さらに、耳が左右にあることで、音が届く時間と音圧の差で音がどの方向から聞こえるかを判断できます。人間は耳を動かせませんが、馬や猫などの動物は耳を自在に動かせるので、あらゆる方向からの音を聞き分けられるのですね。
耳の形は遺伝する?
ところで、耳の形が同じ人はいないと言われますが、本当でしょうか。手相のように耳相があるとか、「うちの子の耳は私の耳にそっくり」という話も聞きます。
耳の形を大別すると、福耳と呼ばれる人のように、耳たぶが顔から離れて垂れているように見えるタイプと、耳が顔について耳たぶがないように見えるタイプ、に分けられそうです。
耳たぶが離れているのは優性遺伝で、くっついているのは劣性遺伝ともいわれますが、はっきりしていません。この場合の「優性・劣性」とは「両親の特徴のうち子どもに現れやすい性質かどうか」をいいます。優れている・劣っているという意味ではありませんのでお間違えなく。
ちなみに、耳垢は乾いた「かさかさタイプ」と湿った「しっとりタイプ」があり、こちらは遺伝で決まっています。湿った耳垢は優性遺伝、乾いた耳垢が劣性遺伝なのですが、人種によっても違いが大きく、日本人には劣性のタイプ、つまりカサカサタイプが多いことがわかっています。
耳垢つながりで言うと、欧米人の耳の手入れは綿棒が一般的ですが、耳かきを使うのは日本人独特の風習(?)なのだそう。そのためか、竹製の耳かきは日本のお土産として人気があるそうですよ。どちらにしても、耳垢を気にして耳掃除をしすぎるのはよくありませんので、適度なお手入れをするようにしてくださいね。
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