テレビや雑誌などでたびたび話題になる“キラキラネーム”。「光宙(ピカチュウ」や「黄熊(プウ)」「皇帝(カイザー)」「愛姫(ラブキ)」など、個性的な漢字や読み方の名前をそう呼ぶ。そんなキラキラネームが昨今増えつつあるというのだが、一方で「一発で読めないから困る」という声も少なくない。
もし、キラキラネームのちびっ子たちが、大人になってから「読みにくくて不便!」と思ったとき一体どうすればいいのだろうか。キラキラネームの改名は可能なの? というわけで、この素朴な疑問を解消すべく、弁護士に聞いてみた。
―― 自分の名前が気に入らなければ改名できるのですか?
弁護士 「名前の変更は、『戸籍法』という法律のもとに定められています。この戸籍法によると、『正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない』(戸籍法百七条の二)とあります。つまり、改名は法律上可能ということです。改名の理由としては、永年通称名として使用した場合や、書きづらい・読みづらい場合など色々ありますが、キラキラネームは、この『書きづらい・読みづらい』という理由が当てはまりそうですね」
―― なんと! じゃ、万が一自分の名前が気に入らなければ、サクッと改名しちゃえるわけですね。
弁護士 「もちろん、個人的に名前が気に入らないからという理由では変更できませんよ。名前を変える場合は客観的な事情が必要です。『第三者から見て明らかに読みにくい』、『社会生活に支障をきたす』などですね。そして、それらは裁判官が自由裁量によって判断します。平たく言えば、裁判官のさじ加減ということです」
―― 自分がどれだけ珍奇な名前かということを裁判官にアピールする必要があるということですか。
弁護士 「そういうことです。改名の手続き自体は簡単ですよ。家庭裁判所へ行って申し立てるだけですから。成人の場合は本人、未成年の場合は代理人が必要です。主な費用は申し立ての際に必要になる800円分の収入印紙くらいですね。変更する名前と共に、事情を明記した資料を提出します。この資料が判断材料になるので、どれだけ名前に関して困っているかを具体的に書くことが必要です。これをクリアーすれば、改名の許可が裁判所からおりるので、あとは役所に行って戸籍変更して完了です。ちなみに審判の結果が出るまでは通常一カ月くらいかかります」
―― あと20年もしたら、キラキラネームたちの改名ラッシュ……なんてことにならないですか?
弁護士 「それはわかりませんね(笑)。ですが、キラキラネーム自体、今はそんなに珍しいものでもないですし、世間の常識も変わっていって、特に改名する必要性がなくなってきそうな気もします」
確かに、珍しい読みの名前が増えたため、一般的だったはずの「○○子」という名前のほうが珍しいなんて言われている。個人的にはイマドキの名前をつけるのもいいけど、やっぱり読み方は簡単なほうがいい……ような気がする。
(中村未来/清談社)
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