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Photoshopの「透明」が「白とグレーの市松模様」の理由

Photoshop共同開発者のトーマス・ノール氏に聞いてみました。

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 Photoshopで「透明」を表す「白とグレーの市松模様」。Photoshopユーザーであれば、この市松模様を特に意識することなく「透明」と認識してしまう人も少なくないだろう。

 しかしなぜ「透明」を「白とグレーの市松模様」で表現したのか。その長年抱き続けていた疑問を、Photoshop誕生25周年イベントのために来日していたPhotoshop共同開発者のトーマス・ノール氏に投げかけてみた。


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見える人には透明に見える「白とグレーの市松模様」

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(左)Photoshop共同開発者のトーマス・ノール氏、(右)筆者

 実はこの表現は、バイオロジーの分野(生物学など)から来ているという。もともとバイオロジーの分野では「透明なガラスの下に白黒のチェッカーボードを置いて物を置く」という表現があり、長い間「透明」を表現するためにチェッカーボードが用いられていたそう。そこからヒントを得て、Photoshopの「透明」は市松模様で表されている。

 しかし、白と黒では目がチラチラしたため、見た目の優しさを重視して黒をグレーにしたのだとか。歴史をたどると、レイヤー機能はAdobe Photoshop 3.0のために開発したもので、最初のバージョンでは透明も「白」で表していたが「白と透明は違う」ことをどうしても表現したくて、この透明レイヤーを作ったという。

 さらにPhotoshopの「白とグレーの市松模様」には、「透明を表す」以外にもう一つ大きな役割がある。それは、画像を拡大したときに格子の大きさが変わらないということ。格子を常に同じ大きさで固定することで「画像の一部とは違う」ことをユーザーが認識しやすくしている。

 Photoshopで「透明」を示す「白とグレーの市松模様」には、こんなストーリーが隠れていた。

太田智美

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