アメリカを中心とした国際研究チーム「LIGO(ライゴ)」が2月12日未明、「重力波」の直接観測に初めて成功したと発表した。
重力波は100年前に物理学者のアインシュタインが「一般相対性理論」の中で予言していた宇宙空間にできた“ゆがみ”が波となって伝わる現象。ブラックホールなど質量が大きなものが動く時に発生すると言われてきたが、重力波はあまりに微弱でこれまで観測に成功した例はなかった。
研究チームは米マサチューセッツ工科大や米カリフォルニア工科大など15カ国の大学に所属する研究者が参加し、2002年から2010年にも観測が試みられていたが、成功せず運用を中止。改修工事を経て検出器の性能を向上させ、2015年から観測を再開していた。そして9月、2つのブラックホールがぶつかるときに発生した約13億年前の重力波を観測、今年1月までにデータを分析していた。最近になって「最新の成果を報告する」との報告が流れ、重力波に関する発表があるのではないかと話題となっていた。
ジョゼフ・テイラーとラッセル・ハルスが新型連星パルマ−の発見と観測により軌道周期が徐々に短くなっていることを突き止め、間接的に重力波を証明したとして1993年にノーベル物理学賞を受賞しており、今回の研究チームの直接観測はノーベル物理学賞に値する成果と言われている。なお、日本の東京大学の宇宙線研究所重力波グループの観測装置LCGT(愛称「KAGRA」)が建設中で、年内にも重力波の試験観測を開始する予定。
KAGRA計画の梶田隆章代表は発見について「これは重力波および一般相対性理論の研究者が待ち望んでいた歴史的快挙」とコメント。「現在我々が建設中のKAGRAを含む第二世代の重力波望遠鏡(レーザー干渉計)によって、重力波そのものや、ブラックホールや中性子星という高密度星の研究が可能であることが実証されたという意味で、このニュースは本当にエキサイティングです」と早期の重力波国際観測ネットワークへの参加と、重力波天文学という新たな学問分野に貢献していく旨を語っている。
ますます宇宙誕生の謎や、光や電波では観測できない天体現象の解明に期待がかかる。
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“考えられないほど巨大”とのこと。