3月22日に全日空空輸(ANA)国内線のシステム障害による混乱時に、搭乗手続きを手書きの搭乗券で対応した空港がありました。チェックインから搭乗までほぼ自動システム化している航空業界では現在、こうしたトラブルに直面した際、どういう対応ができるのでしょうか(関連記事)。
ANA広報室によると、ANAではシステムに不具合があった場合に備え、普段から自動機械を使わずに搭乗できるアナログな方法を各空港で研修しているとのこと。
現在ANAでは航空券を電子化し、自動チェックイン機で搭乗券を発行したり、保安検査場や搭乗口で二次元バーコードを読み取って搭乗者確認を行ったりと、搭乗までのさまざまな工程を自動システム化しています。しかし22日8時20分ごろ、国内の航空券予約や販売、搭乗をつかさどるサーバー4台がすべてダウンする事態に。空港内のシステムが復旧する11時30分ごろまで、運航には問題ないものの通常のシステムで搭乗手続きができない状況が続きました。
そこで一部空港では搭乗客をリストに洗い出し、搭乗券を手書きやスタンプで発行し、チェックインから保安検査場、搭乗口までのチェックを手作業で行うアナログな方法で搭乗手続きを完遂させました。搭乗後も、搭乗口を通過した人数と機内にいる人数が合っているかカウンターで確認。例えば大分空港は3788便東京行き、岡山空港は654便東京行きで実行し、それぞれ出発予定時刻より1時間以上遅れながらも、システムが復旧する11時30分より前には出発しました。
「かつては手作業で行っていた搭乗手続きも、今は利便性の向上のため機械で行っています。しかしリスクマネージメントとして機械がシステムダウンしても搭乗手続きできるようほかの方法も用意しており、空港ごとに研修や訓練を行っています」とANA広報室。具体的にどのような研修を行っているかはセキュリティの都合上明かせないとしつつも、今回使われていた、行き先、便名、搭乗日、座席番号が空欄になっている紙の搭乗券は、同じフォーマットのものを各空港で常備しているとのことです。
日本航空(JAL)も搭乗手続きには国内線・国際線ともにチェックインシステムを使っています。広報室によるとJALでも通常のシステムがダウンしたときに備えてバックアップシステムを用意しているとのこと。非常時はこちらに移行してチェックインを行い、ここ10数年両システムが同時に使えなくなるケースは発生していないといいます。
今回のANAの国内線システムの不具合によって、22日は欠航が146便(約1万8200人)、遅延が391便(約5万3700名)、23日は欠航が2便(約200人)発生し、計7万2100人ほどに影響がありました。一方で搭乗手続きを手作業で対応した空港があったことについて、ネットでは「アナログな手続きもちゃんと機能するようになっているわけだ。障害自体はよくないことなのわかってるけど、すごいことでもある」「システム落ちた時に手作業でやる手順まできっちりできてるんだなー、と変なところに感心した」と評価する声が上がっています。
(黒木貴啓)
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