「フェイクって悲しいよね」 ドイツのアニメファンイベント、海賊版対策に動く 「最もひどい海賊版コンテスト」実施(2/2 ページ)
アニメグッズなどの海賊版が流通するドイツの現状を変えたいと立ち上がったドイツ人にインタビューしてきました。
ドイツ1国だけでは無理
トリアントさんによると、このような海賊版対策はドイツ1国だけでは対応しきれないそうです。そこでオランダのイベント実行委員でもあるシュルテンさんと協力し、まずはドイツとオランダを中心に活動しています。この他、オーストリアやデンマークのイベントにも協力し、今後はスイス、ベルギー、ルーマニアにも活動の場を広げていきます。
では、日本からはどのような協力ができるでしょうか? とにかく交流したいというのがトリアントさんの話でした。グッズの真偽情報にとどまらず、対策のノウハウなどで意見交換をしたいそうです。ちなみに、トリアントさんは日本に行ったことがまだ一度もなく、ぜひ行きたいと熱く語ってくれました。このような交流会に合わせて来日できたらいいですね。
コンニチのこのような取り組みに対して、日本政府はどう思っているのか気になり、ベルリンの日本大使館に問い合わせてみました。コンニチが開催される町カッセルを所管する在フランクフルト総領事館の担当者から回答があり、コンニチの「海賊啓蒙デー」は「とてもよい取り組みだと思います」と高く評価するコメントがありました。また、海賊版対策については、在外公館では知的財産保護を支援する枠組みがあることも聞けました。
もちろん、ドイツ政府やEUも海賊版の摘発を行っています。ドイツ連邦財務省の統計によると、ドイツの税関当局は2014年、約4万5000件、計600万点にも及ぶ海賊版を摘発しています。被害総額は1億3770万ユーロ(約170億円)だったそうです。欧州全体では摘発件数は、9万5194件(2014年)なので、半数近くはドイツで摘発されていることになります。こうしてみると、ドイツの優先度はかなり高そうですね。
以上、ドイツではアニメグッズの正規品を求める声があり、独自に海賊版対策を実施する人たちを紹介してみました。彼らの情熱は、周辺国にも広がりを見せています。ファンがグッズを購入し製作者に利益を還元する。このような当たり前のスタンダードを確立するために、奔走する人たちがドイツにはいます。
「フェイクって悲しいよね」、この思いを共有する人たちは欧州では今後、さらに増えそうな予感がしました。
Kataho:ドイツ、フランクフルト在住のアニメ・ボカロ好き。日本文化を通じたドイツと日本の交流に興味があり、ドイツ各地の日本イベントに参加(Twitter:@sakaikataho)
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