無料電子コミックサービス「マンガ図書館Z」において、海賊版にダメージを与えつつ作品データを収集し、なおかつ作者の収益へと繋げるシステム「日本の全マンガ蒐集(しゅうしゅう)計画」が始動しました。
これは海賊版のマンガZIP(ZIPファイル)をネットユーザーにアップロードしてもらい、それに広告を付けて無料公開した上で、広告収益は作者に100%還元するという実験が大成功を収め、さらにいろいろな特徴が分かってきたことをきっかけとして、改めて始動する計画です。
ちなみに、9月では収益トップの漫画家・堤抄子先生が広告収益にPDF販売やKDP販売などを合計した金額が1カ月10万円、広告収入だけでも1カ月6万円に達していることから「マンガ図書館Z」のシステムが漫画家にいかに還元されているかが分かります。
これまで実施したさまざまな施策の結果より、「マンガ図書館Z」は新型の「作品データアップロード」機能を提案。第三者がマンガZIPをアップロードし、それを作者が許諾して広告収益100%を得るとともに、海賊版マンガにダメージを与え、さらに読者は無料で全巻読めるというシステムを構築しました。
古書店や海賊版でしか読めなかったような作品が、安全な形で無料で読むことができ、しかも権利者に収益が還元されるとあって、これはかなり革新的な試みといえるでしょう。また、このシステムでは今まで通り(権利者自身による)自作アップロードもできるので、商業作品以外の発表の場所としても利用できるそうです。
Jコミックテラス取締役をつとめる漫画家の赤松健さんいわく、「目指すは、出版社(=新作を持つ)と共同での、日本の全マンガ作品のコンプリート蒐集」「ここに来れば、どんなマンガでも必ず読める(または新作を買える)。私たちの仕組みを使えば、この果てしない夢が叶うと考えております」とのこと。
海賊版撲滅、そしてクリエイターへの利益還元も実現できるという画期的な「日本の全マンガ蒐集計画」に期待と注目が集まりそうですね。
(高城歩)
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