暑さも本格的になってきてエアコンのが電気代が気になる季節。近年はネットなどで「エアコンはつけっぱなしにしたほうが電気代が安くなる」というウワサをよく目にするようになりました。ところが実際に試した人の報告を見ると「大幅に安くなった」という人もいれば「むしろ高くなってしまった」という人もいます。実際のところはどうなのか、空調メーカーのダイキン工業に聞いてみました。
ダイキンによると、「こまめにスイッチをオンオフするよりもつけっぱなしにしたほうが電気代が安くなる可能性はある」とのこと。その理由は、「エアコンは部屋を急激に冷やすときに最も多くの電気を使う」から。部屋が涼しくなるたびにこまめにエアコンを切っていると一見節電しているように思えますが、実は暑くなってスイッチを入れなおしたときにかえって多くの電気を使ってしまいます。一度冷やした部屋の温度を維持するのは少ない電気ですむため、部屋にいる間はエアコンの温度調節機能に任せたほうがよいとのこと。
また、設定温度を1度上げると約10%の節電になるとのこと。ダイキンでは利用者の体調面も考慮して26〜28度くらいがおすすめしています。ただし、エアコンも消耗すると冷却性能が落ちたり、新型のエアコンのほうが省エネ性能が高くなっていたりするので、機種などによって電気代も変わってくるそうです。
ちなみに、つけっぱなしにすることで故障のリスクが上がったりはしないのかも聞いてみましたが、「もちろん長時間使用すればその分だけモーターには負荷がかかるので、可能性がないとは言えません。ただし、エアコンは全く使わなくても逆に故障のリスクが上がるもの。どちらかというと温度変化の激しい部屋でハードに使うなど、環境によって左右される部分が大きいです」という回答でした。
「除湿」と「冷房」のどちらが節電になるかについても聞いてみました。実は除湿には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」という2種類があるのだそう。温度を下げて空気中の水分を取り出すというのが除湿の仕組みですが、冷たい空気をそのまま部屋に戻すのが「弱冷房除湿」で、湿度の下がった空気を適温に温めなおしてから部屋に戻すのが「再熱除湿」です。
「弱冷房除湿」は当然「冷房」よりも電力は少なくなりますが、「再熱除湿」は空気を温める分「冷房」よりも多く電力を消費します。自分のエアコンがどちらの除湿機能なのかは説明書などで確認する必要があるとのこと。ただし、震災以降の節電意識の高まりなどもあり、ダイキンでは現在「再熱除湿」のエアコンは製造していないそうです。
自分の使っているエアコンの性能や部屋の環境などに左右されるため「つけっぱなしで絶対に電気代が安くなる」ということはないようですが、キモは「急激に部屋の温度を下げる機会を減らす」ということ。こまめにエアコンをオンオフしていた人はつけっぱなし作戦を意識してみるとよいかもしれません。また、フィルターをこまめに掃除する、室外機を日陰に置いたり適度に水をかけたりしてエアコンの冷却効率を上げる、といったことも節電には有効になってきます。
(たろちん)
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極寒と灼熱の間。