岐阜県美術館の公式Twitter(@gifukenbi)やFacebookに掲載された、同館監視員の女性が描いた4コマ漫画が面白くてタメになると話題になっています。まずは1話をご覧ください。監視員がにぎやかなお客様を注意するのは、多くの場合、他のお客様の無言の指示による……という話です。
美術館というと収蔵品の収集や保管、展示、調査研究を行う学芸員という専門職に注目が集まりがちですが、この漫画でも分かるように、展示室の隅のほうで静かに座る監視員も大切な仕事であることには違いありません。例えば、次の漫画のように館内で虫を発見した場合、捕獲して「虫報告」として学芸部に提出するのも監視員の仕事だったりします。「虫報告」……初めて聞く言葉です。
この漫画はそんな監視員の仕事を通して美術館のアレコレを知ることができるという点でタメになり、また、監視員という普段あまり注目されない職に就く女性の微妙な心理描写も、人間が全員猫顔というキャラクターと相まってジワジワと笑いを誘います。「わたしたち(監視員)はほんとうに美術館に必要なのだろうか」と悩みつつ、バーで次々と杯を空けていく酒豪っぷりをさらっと描く次の作品なども、ジワっとくる味わいがありますね。
どういう経緯からこの漫画を掲載することになったのか、岐阜県美術館に聞いたところ、以前から若年層をターゲットに、地元フリーペーパー「てくてく」にイラスト付き情報を掲載しており、その中で描いた4コマ漫画が好評だったので、内容を改めてFacebookやTwitterに掲載したとのこと。
美術館といえば高尚なイメージがありますが、こちらの館では、美術作品に触れた時の「これなんだろうね」という素直な気持ちを大切にして、もっと多くの人に美術館に親しみを持ってほしいという考えから、「ナンヤローネ」というコンセプトを掲げており、この漫画もそれに沿うものだそうです。
なお作者は地方の美術大学を卒業後、美術に携わる仕事に就きたいと考え、現在、こちらの美術館に勤務している方で、これまで漫画を描いた経験はないといいます。美大出とはいえ、漫画未経験でコレはすごい……。
漫画を読んだ方からの反響は大きかったようで、「美術館について知ることができ勉強になった」「美術館に興味がわいた、行ってみたい」「絵柄がかわいい」など好意的なものが多く、美術館としてもうれしく思っているとのこと。確かに読んでいるとなんとなく美術館に行きたくなる作品ばかり。美術館に関心のある人もなかった人もぜひ一読を。
(五月アメボシ)
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「今後もなお一層、自分の芸術を高めるために努力を惜しむことなく闘ってまいります」
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