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水銀式とどう違う? 電子体温計がすぐに体温を測れるようになった理由

ピピピピッ!

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 季節の変わり目は風邪をひきやすいもの。頭が重くて何かだるい……というときに引っ張り出してくるのが体温計です。

 子どものころ、体温計を使うときには、ワキなどに挟んで何分も待っていた記憶があります。しかし、最近の電子体温計は1分も経たずに「ピピピピッ!」と体温を表示してくれますよね。これ、どういう仕組みになっているのでしょう?

そもそも体温ってどう測ってるの?

 電子体温計が登場するまで、医療機関や学校等で長らく使用されていた「水銀式体温計」。

 水銀式体温計はワキ下に挟む(もしくは口に入れる)ことで、水銀が体温によって膨張し、対応した目盛りまで移動する仕組みです。他の素材よりも正確に体温が測れる点がメリットである一方、正しい体温を測り終えるまで時間がかかることや、ガラス製であるため壊れやすことがデメリットでした。

 このように、水銀式体温計で5〜10分かけて「実際の体温」を正しく測る仕組みを「実測式」と言います。

 一方、電子体温計はそのほとんどが、「予測式」と呼ばれる仕組みを採用した機器です。

 予測式とは、体温計メーカーのテルモ社によると、

予測式:予測式平衡温を短時間で分析・演算した値を表示する方式。

 実測式の欠点ともいえる「測定時間」を短縮するために1983年にテルモが日本ではじめて開発した方式です。多くの人の体温上昇データを統計的に処理し、演算式にして、ワキであれば10分後の平衡温がどのくらいになるのかを、高い精度で短時間に表示します。従って、予測式体温計は、約20秒の短時間で正しい体温を測ることができるのです。(テルモ電子体温計 C230、C231、C531の場合)

(テルモ公式サイトから引用)

 とあります。つまり機器の中に体温の上がり方のデータを持っていて、測定開始後の20〜30秒の体温の上がり方から予測することで、迅速に体温が分かる仕組みだったのです。同時に体温計の素材をプラスチックなどの安全で丈夫なものに変えることで「壊れやすい」デメリットも解消しています。

 水銀式体温計の弱点を見事に克服した電子体温計は、たくさんの人のデータがつまった発明品だったんですね。

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