発車トラブルなどを起こしてしまい電車を遅延させると、莫大な損害賠償金を請求される――そんなうわさ、聞いたことがありますよね。
電車は一度に多人数が利用する交通機関だから、ひとつのトラブルで大きな被害が発生してしまうのだろうと考えると説得力のある話ですが……そのわりには、実際に請求されたというエピソードを聞いたことがないような? 今回は鉄道会社数社に取材し、真偽のほどを確かめてみました。
JR東日本、東京メトロ、東急電鉄の3社に伺ったところ、「電車を遅延させると、損害賠償金が発生」というのは本当。路線内への侵入、車体の破損といった違法行為で運行が妨げられた場合、請求を行うことがあるそうです。このうわさには「飛び込み自殺で亡くなった場合は、代わりに遺族が支払う」と付け加えられることもありますが、JR東日本によると、これも実際に起こりうるとのこと。
しかし、損害賠償金の金額について尋ねると「具体的な回答は……」「この場で回答するのは難しい」といった反応が。これには、細かな状況の違いで額が変わってしまうため、一般論で説明することが難しいという事情があるようです。
JR東日本によれば、鉄道会社は遅延が発生すると、乗客に対する運賃の払い戻し、振替輸送(運行できなくなった列車の代わりになる移動手段を用意する)などの対応を行う必要が。賠償金の金額はこういった対応コストを元に決定されるため、「類似のトラブルでも都会で起こるか、田舎で起こるかで金額が変わってしまう」そうです。
また、「たとえば、『窓ガラスが割れて電車が運行できなくなった』という状況ひとつとっても、修理するのは窓の一部なのか全体なのか、それとも、車体まで直さなければいけないのか、線路上に落ちたガラス片の回収作業も必要なのか……とさまざまな判断を行う」と東急電鉄。遅延トラブルへの対応方法を決めるためにはかなり具体的なところまで検討しなければならないため、現場を見なければ分からない、というのが実情のようです。
まとめると、電車遅延による損害賠償金請求が存在するのは事実。しかし、その金額はケースバイケースで変動するため、うわさのように「莫大な金額」になるかどうかは、実際にトラブルが起こってみないと何とも言えないということになります。東急電鉄は「このような分かりにくさもあって、曖昧なうわさ話として広まってしまうんでしょうね」と推測していました。
(マッハ・キショ松)
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