みなさんは「いっかげつ」を普段どう書いていますか?
1か月、1カ月、1ヶ月、1ヵ月、1ケ月、1箇月……。ざっと変換してみただけでも、6種類は考えられます。
こう見てみると、「小さいケ」は不思議な存在だし、「ケ」を「か」と読んでいるのもおかしな話だと思いませんか?
今回はこれらのルーツを探ってみましょう。
小さい「ヶ」や「ヵ」の由来は?
数えるときだけしか使わなさそうな、小さい片仮名の「ヶ」と「ヵ」。この子たち、いったいどこから出てきたんでしょうか……?
その答えは、漢字の「箇」にあります。もともと漢字では「一箇所」という表記をしていました。
この「箇」が略されて、竹かんむりの「ヶ」のようなものが1つだけ取られたという説と、「箇」の異体字である「个」を崩して「ヶ」になったという説が有力なようです。
「个」は現代中国語でも「個」や「箇」に代わりとしてよく使われています。
つまるところ、「ヶ」は「ケ」の小文字ではなく、「箇」や「个」から派生した記号です。そして、似ているということで、大きいほうの「ケ」も使われるようになりました。
では小さい「ヵ」はどうでしょうか。
まず「ヶ」や「ケ」の読み方「カ」を反映して、「1カ月」という表記が出来上がります。ここで、小さい「ヶ」に合わせて、小さい「ヵ」を使った「1ヵ月」も同様に使われるようになったと推測されます。
どれが正しい?
結局、「いっかげつ」はどう書くのが正しいのでしょうか。
ズバリ言うと、どれも間違いではありません。間違いではないから、ごちゃ混ぜになって使われているんですね。
とはいっても、決めておいたほうが何かと便利です。放送や出版などの業界では、社内で統一ルールを決めていることが多く、例えば「ねとらぼ」(ITmedia)では、業界標準として使われることも多い『記者ハンドブック』(共同通信社)にあわせて「1カ月」表記が基本です。
地名などの固有名詞はまた事情が異なります。
東京の「自由が丘」や「霞が関」は今では平仮名に直されていますが、遺跡のある佐賀県の「吉野ヶ里」や静岡の「三ヶ日」などはまだ小さい「ヶ」が使われているように、そのところによって違う字を使っています。地名はその土地の歴史や文化の記録と密接に関わりますから、安易に変更できないという例でしょう。
まとめ
冒頭で紹介した「いっかげつ」の変換はどれも間違いではないことはご理解いただけたでしょうか。
とはいえ、「1ヶ月」と「3か月」が混在してしまっている文章はかっこ悪いですよね。重要なのは、同じ文章中で異なる複数の表記を使わないこと。表記を統一することで、読む人にとってもやさしい文章になりますよ。
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