「サボテンにタオルを置くと規則違反」「食べかけの梨を動かすのはNG」 不思議なゴルフのルールが2019年に変わる理由(2/2 ページ)
なんでこんなルール作ったんです? そして、変えることになったんです?
不思議なルールは、ゴルフ特有の競技性質から生まれた
サボテンやアリ塚、子どもが作った砂の城……と妙に具体的なルールの話が出てきましたが、これらは「ゴルフ規則裁定集」から取り上げたもの。日本ゴルフ協会によれば、これはゴルフのルールに関する公式見解をまとめた資料だそうです。法律における判例集のような位置付けで、ルールの一部として認識されているとのこと。
規則裁定集の中に、日本ではめったにお目にかかれない生物に関する言及があるのは、ゴルフのルールが国際的に統一されているため。われわれには縁遠いガラガラヘビに関する話も、米国などのゴルフプレイヤーにはピンと来るのではないでしょうか。なお、実際には記載内容の一部を置き換えて利用することもあり、たとえば、ガラガラヘビの場合は他の危険な生物(日本ならマムシなど)と遭遇した場合に応用できるといいます。
世界中のルール運用の“判例”を掲載しているため、なんだか奇妙な内容になっているゴルフ規則裁定集。もっとも気になるのは、なぜわざわざ制作しているのかという点ではないでしょうか。
日本ゴルフ協会に伺ったところ、同協会は、ゴルフの発展に深く関わっているイギリスに慣習法の伝統があるという歴史的な背景を指摘。また、他のスポーツとは異なるゴルフ特有の性質からも説明してくれました。
ゴルフは広大な敷地で行われる競技のため、テニスやサッカーのように、レフェリーがプレイヤーの動きをすべて監視することが不可能。そのため、プレイヤーには自分自身にルールを課す自律的な態度が求められるとのこと。
しかし、自然の中で小さなゴルフボールを追いかけていると、想定外の物が地面に落ちていたり、予想外の悪天候が起こったりと、イレギュラーな事態が多々発生。抽象的なルールしか分からないと実際の状況に当てはめることが難しく、困ってしまう可能性があるといいます。だから、ゴルフ規則裁定集でルールを具体的に説明することで、プレイヤーがルール順守しやすい環境づくりを行う必要があるというわけですね。
しかし、このようなやり方には、デメリットも。というのも、規則裁定集に掲載されている事例は膨大なうえに、例外が多く内容が複雑。レフェリーでも覚えきることができず、分からない場合は本で確認しているそうです。ルールをていねいに説明しようと努めた結果、難しくなりすぎてしまったのかな……?
このようなルールのあり方が間口を狭めてしまい、競技人口低下につながる可能性があることから、ゴルフのルールは2019年に大幅改変される予定。内容はまだ決定していませんが、より分かりやすいものに変わるそうです。
(マッハ・キショ松)
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