ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
コラム

これさえ守れば「ダメ文」が書ける! 人に伝わらない「ダメな文章の書き方」講座

ダメ文は、ダメポイントでできている。

advertisement

 大学教員という仕事柄、普段から学生が書いた文章に触れる機会が多くあります。わたしは、自分の担当授業を受講してくれた学生については、「知識」ではなく「理解」を問いたいので、なるべく論述形式の課題を出すことにしています。要はレポートです。

 そうしたレポートを読んでいると、理解の度合いの高さもさることながら、文章も整っている、というものに出会うことがあります。わたしが教えられたことはほとんどなかったかもしれない、と思わされます。

 その一方で、理解うんぬん以前に、何を言いたいのか読み取りづらい、そもそも何を言っているのか理解しがたいレポートに出くわすのも事実です。時には「ひょっとして、このレポートを書いてるひとは、わざとダメな文章を書く修行をしてきたのではないのか?」とすら思われされます。

 そういう「ダメな日本語の表現」を多くみているうちに、どうしたらダメな文章を書けるだろうか、と思いたちました。以下は、いくつかのパターンで学ぶ「ダメな文章(略してダメ文)の書き方」です。

植田麦

明治大学政治経済学部専任講師。研究の専門は古代を中心とした日本文学と日本語学。



読点を使わない、変なところに打つ

最もわかりやすいダメ文のパターンはひたすら長い文であるにもかかわらず読点を全く使用しないタイプのものです。


 上の文は50字ほどですが、これだけでも「、」がないと読みづらいです。下の文と比べてみてください。

最もわかりやすいダメ文のパターンは、ひたすら長い文であるにもかかわらず、読点を全く使用しないタイプのものです。


 50字くらいならまだ読めますが、恐ろしいことに、200字以上の長文でも「、」を全く使用しない、というレポートに出くわしたことがあります。そして、長い文の場合、主語と述語が一致しない「文のねじれ」を生じていたり、並列関係が整っていなかったりといった、他のダメ文成分を含んでいることも多々あります。

 とはいえ、この手のダメ文にお目にかかる機会はあまりありません。それよりは、変なところに読点を打って、わかりづらい文章にしてしまうパターンをよく見ます。

 以下は、某ウェブメディアの記事を少し改編したものです。

かつてプロ野球などで活躍した山田太郎氏が破産宣告し、J3へと降格した渋谷サッカークラブの買収に乗り出していることが分かった。


 最初、「山田太郎氏」が「破産宣告」したのかと思いきや、「破産宣告」は「渋谷サッカークラブ」だった、というパターンです。「活躍した山田太郎氏」と「破産宣告しJ3へと降格した渋谷サッカークラブ」がそれぞれ意味のまとまりですから、

かつてプロ野球などで活躍した山田太郎氏が、破産宣告しJ3へと降格した渋谷サッカークラブの買収に乗り出していることが分かった。


 とすれば、意味が理解しやすくなります。

ダメ文のポイント

  • 長文で「、」を全く打たない。
  • 意味のまとまりの間で「、」を打ち、修飾関係を混乱させる。


文をねじれさせる

 以下は、わたしが某所でみつけた「ヤマモモ」の説明です。

ヤマモモ 直径1〜2センチの球形で真っ赤に熟す実がなって食べられます。


 なかなかに味わい深い文です。意味はすぐ理解できるのに、読んだときの違和感はなかなか説明しづらいですね。まず、述語である「食べられます」に対応する主語が何か、よくわかりません。「実」だと思うのですが、その「実」の述語は「(が)なって」とあります。では、この「(が)なって」を省いたらいいのかとも思われますが、

ヤマモモ 直径1〜2センチの球形で真っ赤に熟す実が食べられます。


 今度は「実」の修飾部分である「直径1〜2センチの球形で真っ赤に熟す(実)」が、なんだか違和感をもたらします。全体を書き換えるなら、

ヤマモモ 実は直径1〜2センチの球形で、熟すと真っ赤になる。食べることができる。


 といったところでしょうか。ここまでのものではないにせよ、レポートなどでは、

ではなぜ実施すべきなのかを、施策のメリット、デメリットについて考え、明らかにしていくことを目的とした論文である。


 といった文にお目にかかることはしょっちゅうです。

ダメ文のポイント

  • 主語と述語を一致させない。なお、長い文だとさらにポイントが高い。


並列関係を混乱させる

 以下は、大阪の某所にあるビルの注意書きです。

セールスマン・犬等の愛玩動物を連れての外来者の出入は絶対禁ず


 書き手の意図としては、「セールスマン」「犬等の愛玩動物」が並列されているのでしょうが、「・」のせいで、「セールスマン」と「犬」が並列されていて、その両方が「等の愛玩動物」を修飾しているようにみえます。

 さらにこの文章の場合、「外来者の出入りは絶対禁ず」と続いてしまっています。そうすると、愛玩動物を連れていない場合の外来者は出入りが許されてしまうのでしょうか? たぶんダメでしょう。

 つまり、「犬等の愛玩動物」と「セールスマン等の外来者」が並列されていて、それらの出入りを禁じているはずなのですが、中身が混乱しているので、別の文脈になってしまっているのです。

 レポートでは、

業務の効率化にあわせ、機密情報の保持やシステムを新たにするようになった。


 のような例を多くみます。ここでは、「機密情報の保持」と「システムを新たにする」が並列関係にありますが、述語が「(新たに)するようになった」となっていて、「機密情報の保持」が浮いてしまっています。そのため、

業務の効率化にあわせ、機密情報の保持やシステムの更新をするようになった。


 のように、「保持」と「更新」を並列関係にして「するようになった」につなぐと、整った文章になります。

ダメ文のポイント

  • 並列関係にある要素をバラバラにする。
  • 並列関係にあるものは、片方だけを述語につなげる。




 ほかにも、いろいろなダメ文のパターンがあるのですが、すぐに使えそうなものをご紹介しました。これで読者のみなさんも、明日からダメ文がすぐ書けるはずです。がんばって単位を落としてください!

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る