KDDIが「ながらスマホ」をしながら自転車走行した場合の危険性を、実証実験で検証しました。ながらスマホ中は歩行者の見落とし回数が平均で2回と、通常時の1.3回から5割増しに。歩行者を認識するまでの時間も通常の1秒から1.7秒に遅れるという結果が出ています。
実験は愛知工科大学の小塚一宏名誉・特任教授が監修。UNN関西学生報道連盟(京都大学、同志社大学、立命館大学、京都女子大学ほか)の学生11人が被験者として参加し(有効データ数9件)、京都府庁で実施されました。
全長50メートル、幅7メートルのコースを設け、死角となりがちな駐車車両や駐輪場を配置。この上で4人の歩行者役が、自転車を「追い越す」「横切る」「すれ違う」という3つのシチュエーションを想定して動きます。被験者には視線計測装置を装着させ、適切な運転・ながらスマホ運転・ながらスマホ+イヤフォン装着運転の3通りで走行してもらいます。
被験者の視線を示すカーソルを見ると、通常走行時とながらスマホ時では、安定感が段違い。前者の場合は視点が前方に置かれ、死角から現れる歩行者にもすぐ気付いているのに対し、後者ではカーソルの動きが手元のスマホに寄っています。歩行者が視界の端に入っても、視線が散漫に動いているように見えます。
被験者の目視行動を分析した結果、歩行者を注視する時間は通常時と比較して、ながらスマホ時は23%、ながらスマホ+イヤフォン装着時は22%にまで減少。歩行者の認識にかかった平均時間は、通常走行時で1秒に対し、ながらスマホ時は1.67秒、ながらスマホ+イヤフォン装着時は1.42秒と遅れが出ました。
こうした目視の挙動が見られなかったケースを「見落とし」として集計したところ、その平均回数は通常時1.33回、ながらスマホ時2回、ながらスマホ+イヤフォン装着時は1.56回となりました。スマホ登場以前、携帯電話が普及したころから見られる事象ですが、あらためて「ながら運転」の危険性が明らかとなっています。
(沓澤真二)
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