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ほのぼの京王電鉄のツバメのフン受け板 なぜツバメは駅に巣を作るのか、「フン受け板」推進団体に聞く(1/2 ページ)

自作できる「フン受け型紙」も配布。

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 京王電鉄がツバメが巣作りする春から初夏にかけて、駅に作られた巣の下にフン受け板を設置すると発表しました(関連記事)

京王めじろ台駅 京王めじろ台駅に設置した例(2017年)

 ほんわかと和む、身近な鉄道と人の生活に関連したいい話です。京王電鉄によるこの施策は、NPO(認定特定非営利活動)法人であるバードリサーチの協力で行われています。きっかけは「利用客からの苦情で、巣が撤去されてしまうケースがかなりある」ため。「フン受け板」はどんな経緯でできたのか。ツバメはなぜ駅に巣を作るのか。バードリサーチに話を聞きました。


フン受け板 フン受け板に描かれた、京王電鉄キャラクターのけい太くんと京王線5000系キャラクターのしんごくん
photo 2017年にはJR鎌倉駅でこんな対応も(画像提供:コペハ鳥さん(@Cphg_mb))

ツバメが歓迎されないこともある

 バードリサーチは2013年からフン受け板を配布する活動を行っています。2018年現在、毎年1000枚〜1500枚ほどを配布しているそうです。

 2010年から2011年に掛けて同団体が道の駅とサービスエリアで営巣とその対応状況を調べたところ、巣から落ちるフンが利用者の迷惑になるとして、巣を撤去したことのある施設が相応にありました。また、ツバメを大切にしている施設が多かった一方で、ツバメが繁殖することを迷惑と考えているとの回答も7%ありました。

7%が大切にされていない ツバメが歓迎されないこともある(バードリサーチより)

 続いて2013年には、関東の全駅1758駅での調査も実施します。その結果、283駅でツバメの営巣が確認され、乗降客が極端に多い都心の駅を除いた「乗降客数が多い駅」で営巣率が上がる傾向が見られました。ツバメは、天敵が近づきにくい、ある程度人通りが多い場所に巣を作ります。意識はしていないと思いますが人間が守っている一面もあるのですね。また近年は巣作りに適した軒下のある日本家屋が減少したことから、駅や道の駅、サービスエリアに巣を作ることが増えているのだそうです。

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2013年の関東1758駅調査では、秩父鉄道が営巣率トップだった

京王線での調査結果 赤い星印が京王線でツバメがいる駅(バードリサーチ2017年調査

 だからといって、フンが頭にポトリはちょっと……という話でもあります。なんとかできないか。ツバメは春から初夏にかけて産卵します。産卵後2週間で孵化(ふか)し、3週間で巣立つそうです。例えば、「ま、フンが直接掛からなければ、少しの間ならば仕方ないよ」と思ってもらうにはどうすればいいでしょう。

ツバメの巣の様子 ヒナは3週間で巣立つそうです(画像提供:バードリサーチ)

 人が嫌だと感じるツバメの被害は、そのほとんどが掛かる、たまって汚れる、踏んでしまうといった「フン害」。フン害を防げて、かわいいイラスト入りならば受け入れてもらいやすいのではないか──。そうして「フン受け板」が誕生しました。

 2018年現在、京王電鉄の駅に加えて、JRや西武鉄道の一部の駅でも、さらには高速道路のサービスエリアでもこのフン受け板が利用されているそうです。

ツバメの様子 洗面台にいたツバメ。かわいい(画像提供:バードリサーチ)

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