1文字分のスペースに「ミリ」「メートル」「トン」などを押し込んだ「組文字」をご存じですか? ネット上ではもっぱら、組文字を羅列して変わった表現を作る遊びに利用されており、「使ったことはないが、見たことはある」という人も多いかもしれません。
本来は、縦書きの媒体で単位をそのまま書くと分かりにくくなる、字数に限りがあるといった場合に使うものだといわれていますが、組文字の中には「サンチーム」「ユアン」「ミリバール」など耳慣れないものも。
今回は“なぜ収録されているのか分からない謎の組文字”の意味を解説します。
ユーロ登場で時代遅れになった通貨の組文字
組文字にはヨーロッパなどで使われていた通貨名を表すものが含まれています。しかし、それらは2002年にユーロ貨幣が流通開始したことで、使いにくい記号になっています。
- サンチーム:フランスなどで流通していた「フラン」の100分の1(日本円でいうところの銭のようなもの)
- ペニヒ:ドイツで流通していた「マルク」の100分の1
- エスクード:ポルトガルなどで流通
- ギルダー:オランダなどで流通
ちなみに、これらの通貨の記号がいまだに残っている一方、肝心のユーロの組文字は導入されていないもよう。なにそれ不便。
時代の流れで使われなくなった古い単位
同様に、時代の流れで使われなくなった組文字は、科学の世界にもあります。
- レントゲン:照射線量を表す。現在は「C/kg(クーロン毎キロ)」が使われる
- レム:被ばくによる生物学的な影響の大きさを表す。現在は「シーベルト」
- キュリー:放射能の単位。現在は「ベクレル」
- ミリバール:圧力の単位。台風の大気圧を表すのに使われていたが、「ヘクトパスカル」に取って代わられた
使いどころがよく分からない単位
さらに、ニッチ過ぎて使う機会が少なそうなどの理由から、使いどころがよく分からない組文字も。
- ブッシェル:ヤード・ポンド法に基づく体積の単位。穀物、先物取引市場などで使われる
- グラムトン:質量を表す「トン」にはいくつか種類がある。イギリスに由来する「英トン」は1トン=2240ポンド、「米トン」は1トン=2000ポンド、「仏トン」は1トン=1000キロ“グラム”で、特に仏トンを指すとき、「グラムトン」という
- ユアン:中国の通貨「元」は、英語表記で「yuan」。日本人ならそのまま「元」、英語圏の人にはアルファベットのままの方が伝わりやすそう。どうして片仮名表記にしたんです?
- パーセント:普通に「%」と書いた方が見やすいような……
その他、「アパート」「ハイツ」「サイクル」など、使いどころがいまいち分からないものはいくつも挙げられます。ネット上でいろいろ調べてみたものの、うまい使い方については分かりませんでした。というのも、これら“謎の組文字”を使用した文章が全くといっていいほど出てこないのです。
この理由の1つとして考えられるのは「組文字が機種依存文字であり、PCやスマホでは文字化けが起こる可能性があること」。紙媒体なら気にせず利用できるかもしれませんが、そもそも知らない単位の組文字がこんなにあるということは……少なくとも使用頻度は低いんだろうなあ。
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