Makuakeで2100万円集めた「ものづくりマニアの撥水リュック」に商品不着騒動 運営が一部立て替え返金を決断(2/2 ページ)
Makuake「一時立て替える形で、支援者に返金処理を行うこととなりました」
プロジェクト実行者グループは
――Makuakeのクラウドファンディングでトラブルになっているようですが、今どういう状況なのでしょうか。
メンバーO氏:Makuakeさんからお話は聞いていますが、今回の撥水リュックはメンバーのTさんがお一人でやっているプロジェクトで、私は一切関わっていないんです。
――発案者の中にOさんのお名前もありましたが。
メンバーO氏:「こういうの(撥水リュック)をやります」というのはTさんから聞いていたのですが、私は直接関わっていませんし、支援も全てTさんのもとへ行っています。
――Tさんとは連絡が取れていますか。
メンバーO氏:最後に直接連絡が取れたのは2017年の末です。
O氏はもともと樹脂の切削加工を行う会社に勤めており、アクリルパイプでスマートフォン用のスピーカーを作るというプロジェクトを行った際に、T氏と知り合ったとのこと。Makuakeでのトラブルが発生した後は、会社にも多数の問い合わせが来ていると言い、困惑した様子でした。
Makuakeは立て替え返金を決断
続いて編集部が連絡を取ったのはプラットフォーマーのMakuakeです。広報担当者が今後の対応について明かしました。
――トラブルが発生していることは把握していますか。
Makuake:はい、把握しております。実行者のT氏に弊社の弁護士を含めて直接連絡を取り、実行者として責任をもってリターンを実行するようにとお願いしてきました。
――リターンが不着だという報告が相次いでいますが、現状はどうなっているのでしょうか。
Makuake:リターンは、2017年10月発送分(1084人)と、2018年2月発送分(591人)に発送時期が分かれており、10月発送分に関しては送付が完了していると実行者より報告を受けております。
――縫製などについて問題を指摘しているひともいましたが。
Makuake:リターンが届いている支援者のうち、縫製などに関するクレームが弊社に来たのは数件でした。リターンが届いた支援者のうち、満足度が高い支援者の方もいらっしゃいました。
――リターンが遅れている原因は何なのでしょうか。
Makuake:T氏からは、想定以上の大量にいただいた支援の結果、工場への発注が丁寧にできなくなってしまったと聞いています。これにより不備のある製品ができてしまい、全体の工期が遅れたようです。また、その後体調不良が重なりさらに遅れがでてしまったようです。
――T氏は他のクラウドファンディングサイトでも同様の“リターン遅延”を起こしており、そちらではプラットフォーマーが対応を発表しました。Makuakeではどのような対応を取る予定ですか。
Makuake:「新しいアイデアの誕生を応援する」というプラットフォームの思いから、T氏がリターンを既に半数以上の支援者に発送していること、リターンの到着を待っている支援者もいること等を加味した上で、6月末までに残るリュック591個の配送をするという意志を尊重してまいりました。また今回弊社がT氏に代わり返金を簡単にしてしまうと、プラットフォームとして今後「何かあった時にすぐにMakuakeが返金してくれる」という状態になってしまい、無責任な実行者が増え、かえって多くの支援者に迷惑を掛けてしまうことを危惧し、当社による返金に対して慎重に議論を重ねてまいりました。しかし同時に、今回リターンの配送が当初の期日までに完了していない一部の支援者から、返金希望のご意見も頂いており、当社としても6月末の約束期日を過ぎた場合の然るべき対応を検討しておりました。
そんな中、T氏より先日、「生産できる個数が、6月末までに591個に満たない」という連絡があったため、リターンをお届けすることが出来ない支援者については、MakuakeがT氏に代わり、一時立て替える形で、支援者に返金処理を行うこととなりました。6月末までリターンの到着をお待ち頂いた支援者の皆さまに対してはご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ございませんでした。
――591人中の中からどのようにリターンが届く人を選ぶのでしょうか。
Makuake:申し込みの先着順ですが、キャンセルをご希望いただいている方に対しては、返金処理の対応をいたします。
――今回はこのような事態になってしまいましたが、今後改善しようと考えていることなどはありますか。
Makuake:弊社としても反省点はいくつかあります。一つは実行者と支援者が連絡を取りやすいような環境だったかについてです。連絡手段については5月
9日より、実行者・支援者間の特定商取引法の表記のを義務付けを行うことにより改善しています。弊社としても、今回T氏には、支援者の皆さまに細かく説明していただけるようコミュニケーションを図ってまいりましたが、活動レポート等での状況報告がT氏よりされていない事もあり、支援者の皆さまにはご心配をおかけしてしまったと反省をしています。
またもう一つは審査体制です。今回は以前にもMakuakeでプロジェクトを実施していた実行者だったことと、プロトタイプも確認できたため、比較的スムーズにプロジェクトが進行したのですが、今後は個人のプロジェクト実行者である場合、プロトタイプがしっかり確認できていても、想定以上に支援が集まった場合のことを加味した上で、生産能力や過去の実績等をもとにした実現可能性をより厳しくチェックしていく予定です。
今回のトラブルでは、支援者側が「クラウドファンディング」をよく理解しないまま「ショッピング」の感覚で支援してしまったケースも存在していました。クラウドファンディングはあくまでも実行者のプロジェクトを出資者が支援することによって成り立つサービスで、商品などはあくまでもそのリターン(お返し)なのだということを理解しておく必要があります。
画像:ものづくりマニアが集結!下町工場の技術が詰まった撥水リュックC/5SYSTEMより
(Kikka)
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