生成キャラの使い方は自由
――開発メンバーは全員大学生とのことですが、どのように集まったのでしょうか。
金:MakeGirlsMoeと同じメンバーです。ほぼ全員、同じ大学の学部出身で、前からの知り合いです。2017年に初めてコミケのサークル参加が当たった後、友人に声をかけてメンバーを集めました。今回は開発量が思ったより多かったため、全員パートタイムで開発を手伝ってくれた感じです。
――Crypkoのユーザー数はどれくらいですか?
金:キャラを1体以上生成したユーザーは6000人くらいです。驚いたのは、それだけのユーザーが70万体以上のキャラを作ったことです。
――現在どの国からのアクセスが多いですか?
金:中国のユーザーが最も多いですが、アクセス数は日本が一番多いです。アメリカからも結構ありますね。
――実際に運営してみて、ブロックチェーンゲームのメリットとデメリットについてどう思いますか。
金:まず、プレイヤーのデータが「資産」として残るため、誰でもその情報に基づいて他のゲームを開発できる点ですね。Crypko側で定めているルールは新しいキャラの生成と交換方法だけで、生成されたキャラをどうやって使うかは自由なんです。
例えば、RPGツクールMVなど、既存のゲーム開発ツールからブロックチェーンAPIを利用して、ユーザー持ってるCrypkoのキャラをRPGに登場させるのもありかもしれません。うまく活用すれば、1つのトークンをベースに関連ゲームのエコシステムも作れるのが、従来のゲームにはない特徴だと思っています。
実際、Cryptokittiesでは第三者が制作した猫に帽子を被らせる「Kitty Hats」や、レースゲームの「Kitty Race」が誕生しています。
――反対にデメリットについてはいかがでしょうか。
金:現状ではイーサリアムの処理能力は通常のサーバーに比べるとすごく遅いです。イーサリアムでは取引するために、マイナーに手数料(Gas)を支払う必要があります。1人のマイナーに同時に複数のリクエストが届く時、マイナーは手数料が高い順から処理します。
1つのブロックで処理できる取引量が限られているため、結果として、ユーザーが高い手数料を支払わなければ、取引が拒否もしくは長い待ち時間を強いられる可能性があります。だから、一般的なユーザーにとってハードルがまだまだ高い。解決策も提案されていますが、どれも大規模な採用に至っていません。
――ブロックチェーンゲームは日本語に対応したゲームがほとんど無いこともあって、日本ではまだまだ知られていません。中国ではいかがですか?
金:やはりブロックチェーンゲームをやること自体ハードル高いため、中国でもブロックチェーンゲーマーは新興技術に興味ある人と投機・投資家がメインだと思います。まだ一般的なユーザー層に届くのは難しい段階です。
ただ、中国ではブロックチェーン関連の投資家と起業家が日本より断然多く、社会全体で新技術に対する情熱が高いように感じます。仮想通貨の取引所とICO※が中国政府に禁止されても、ブロックチェーン関連事業への投資と起業の勢いが全然減っていないくらいです。
※暗号通貨を使った資金調達方の方法
――最後にこれからの金さんの目標を教えてください。
金:この一年でアニメキャラの生成など、周りから見ると不真面目なことばかりやっていました(笑)。もっと一般的な機械学習の関連研究もやりたいですね。それにCrypkoについても、より良くなるよう模索していきたいです。
ブロックチェーンも画像生成技術も、新しい技術ゆえに未熟なところがたくさんあります。Crypkoも実験的なプロジェクトに近いかもしれません。でも1年後、2年後にどこまで発展するか誰にも分かりませんから、この領域は継続的に追っていきたいです。
――「MakeGirls.moe」は去年コミケで配布されて注目を浴びました。またコミケに出る予定はありますか?
金:夏コミに出て、Crypko関連物を出す予定です。ブースは日曜日東プ17bです!
取材協力:李旻駿(Li Minjun)さん
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 1クリックで嫁がポンポン生まれるサービスが登場 深層学習で萌えキャラを自動生成
嫁は“創る”時代。 - ボタンを押すだけで線画がカラーイラストに ピクシブのお絵描きサービスに「自動着色機能」が追加される
お絵かきサービスがここまできた……! - 白泉社らが「自動着色技術」を使った漫画の配信・販売を開始 漫画着色向けの新モデルを開発
AI技術を使ったカラー漫画の登場です。 - 錯視画像「回って見える」とAIも誤認 立命館大などの研究で
人と同じ錯覚をすることが実験で明らかに。 - なぁAI、おまえはどう思う? 「教えて!goo」がAIによる恋愛相談サービスを8月から開始
人工知能「悩みがあるなら聞くぜ?」