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「星のドラゴンクエスト」ガチャ集団訴訟はなぜプレイヤー側敗訴となったのか 裁判所の判断は「不当表示なし」

「★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります」という一文の解釈が争点に。

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 スマートフォン用ゲーム星のドラゴンクエストのガチャ表記を巡る集団訴訟で、東京地方裁判所は9月18日、「原告(プレイヤー)側の請求をいずれも棄却する」との判決を下しました。裁判結果については既に報じていましたが(関連記事)、判決文を確認したところ、裁判では「★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります」という1文の解釈が大きな争点となっていたことが分かりました。


星ドラ 訴訟 問題となっていた「★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります」の表示

 同裁判は、2015年に実装され、「天空のつるぎ」や「グリンガムのムチ」「おうごんのツメ」などの“ピックアップそうび(いずれも最高レアの「★5」)”が手に入った、「レジェンド宝箱ふくびき」の表示を巡って争われていたもの。原告側は「ピックアップそうびは極めて低い確率でのみ排出されるにもかかわらず、(中略)高い確率で排出されるかのように表示して」いたと主張しており、裁判では実際にそのような表示があったかどうかが主な争点となりました。


星ドラ 訴訟 2015年10月15日から2016年3月14日まで提供されていた「レジェンド宝箱ふくびき」

 中でも焦点となったのが、冒頭でも触れた「※★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります」という表記です。運営側は当時、「★5」全体の出現率を「7%」と表記していましたが(※)、この「7%」の中には、ピックアップ以外の★5そうびも多数含まれており、目玉であるピックアップそうびが実際にどれくらいの割合で提供されていたかは不明でした。

 原告側はこの「他にも排出される場合があります」という書き方について、「ピックアップそうびは著しく低い確率でしか排出されないにもかかわらず、ピックアップそうび以外の排出が例外的であるかのように表示」したものであるとして、運営元であるスクウェア・エニックスに対し、ユーザー8人分、合計300万円の返金を求めていました。

※このころはまだ個別の排出率は表示しておらず、レア度別の排出率表記だった


星ドラ 訴訟 「星5全体で7%」と表記はされていたものの、実際には目玉である「ピックアップそうび」以外が大半だったのではないか、というのが原告側の主張でした(図は編集部作成)

 しかし、判決ではこの表記について、「ピックアップそうびの出現確率が他の★5そうびよりも高い旨表示していると認識されるものとはいえず(中略)、単にピックアップ装備以外の★5そうびも排出される可能性があるという事実を指摘しているもの」と判断。原告らの主張について、「それのみでは本件表示が★5そうびの排出割合までも表示しているとまでは認識できず、原告らの主張は採用できない」としました。これを踏まえ、裁判所側は最終的に、運営側による詐欺や景品表示法違反はなかったと結論付けています。

 原告側によれば、判決文には「事実誤認と意味不明な文言」があり、現在は控訴の準備中とのこと。




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