京都大学の学生自治寮「吉田寮」を巡って、大学側が吉田寮自治会に通告していた退去期限(2018年9月末)を過ぎ、吉田寮に「10月1日に以降居続けると不法占有となる」と書かれた通告書が貼られました。現在では吉田寮の電話線がきられるなど、大学側も強行手段を取っているようです。
吉田寮とはアニメ化もした森見登美彦さんによる小説『四畳半神話大系』に出てくる下鴨幽水荘のモデルにもなったと言われる建物で、同作の聖地巡礼場所としても知られていました。京都大学は2017年12月に発表した「吉田寮生の安全確保についての基本方針」を発表。その中で京都大学側は「築後100年以上を経過した吉田寮現棟は耐震性を著しく欠き、極めて危険な現状にある」「可能な限り早急に学生の安全確保を実現することは、学生に良好な修学環境を提供する責務を負う本学にとって最重要かつ喫緊の課題の1つ」として、新規入寮の停止と吉田寮に入舎している学生の退去を求めていました。
一方学生側は、吉田寮の中でも100年以上の歴史を持つ「現棟」が歴史的価値をもち、学会からの保存要望書が出されていることや、2015年に建築された「新棟」は耐震性に問題はないこと、また現棟をどのように補修するかが十分に話し合われていないことなどを理由に、大学と対立。また、「『基本方針』は一言で言えば、老朽化対策をなおざりにして、ただただ寮生を追い出すだけの方針」と批判しています。
大学側の基本方針によると、京都大学側は昭和50年代から吉田寮現棟の状態を認識しており、1982年には1986年3月を在寮期限と決定し、学生との話し合いに努めたが本格的な改善整備はなされなかったとのこと。また、2018年9月17日には同8月30日に吉田寮自治会との話し合いを行ったものの建設的な話はできなかったとし、「話し合いを行える状況ではない」と自治会を非難していました。
自治会側はFacebook上で「インフラの確保や訴訟などのためにお金が必要になることが予想される」としてカンパを呼びかけており、大学側との対立はまだまだ続きそうです。
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