本来ほめ言葉のはずの「まじめ」。でも実は損じゃない?――そんな思いを描いた漫画に、共感が集まっています。
漫画家のにいさとる(@nii_satoru)さんがTwitterで公開した「“まじめ”をやめたいアラサー」という漫画は、ある朝起きると、右耳が聞こえなくなっていたにいさんが耳鼻科を訪れる場面から始まります。
医師の診断は低音感音性難聴。「ストレスだよ まじめなんでしょ」という医師の言葉に、「はぁ…まただ…」とにいさんは思うのでした。
事あるごとに「まじめだね」と言われるにいさん。人に迷惑をかけないようにという教えを守って生き、酒もたばこもギャンブルもやらず、学生時代も役職を頼まれればやり、部活でいじめのようなことがあっても1日も学校も部活も休まなかったといいます。でも、最近思うことがあるようで……。
「まじめってソンじゃね!? そのせいで体おかしくなってっし!」と疑問を抱くにいさん。小さなころからちゃんとやるのが当たり前なので、普通にやっても周囲からは反応がないのです。不良はちょっといいことをしただけで好感度が上がるのに……。
それに「まじめだね」はほめているように聞こえるけれど、本当は「融通が利かない」と言われているのでは、ともにいさんは疑います。確かに「まじめだね〜」という発言は、もっとまじめでなくてもいいのに、という気持ちが含まれているような印象がありますね。本来はほめ言葉のはずなのに!
ちなみに、にいさんが低音感音性難聴だと診断されたときにもらった薬は、医師も薬剤師さんも「すごいまずい」「めちゃくちゃ飲みづらい」とかなり脅してきたそうですが、実際に飲んでみると「全然いける」「むしろうまくね!?」とまったく問題なく飲めたのだそうです。お薬をきちんと飲んでいたからか、病院を再受診すると聴力も戻っていました。医師に薬を飲めたか聞かれたにいさんが余裕だったと答えると、またもや医師は「まじめなんだね ふつーの人は二度と嫌だって言うよ」。「薬飲むのに“まじめ”“不まじめ”関係なくね!?」と腑に落ちない気持ちになります。
なんでも「まじめ」と言われることにむしろ腹立たしさを感じたにいさん、ついに「ワシはお前らが思ってるほどまじめじゃないんだよー!!」「悪いことやってやんよおおおおお!!!」と逆ギレ。アラサーにして初めてタバコを吸う、という悪事を働きます。しかし、気がつけば、発想が高校生だし、成人しているので別に“悪”でもないことに気がついたにいさんは、換気扇を回しながら「あーくっそぉ…まじめやめてぇ…」とつぶやくのでした。
漫画には「わかりすぎる」「共感しました」と、同じように「まじめだね」と言われている人からの反響が寄せられています。
人は常識や規則をいつしか破り、それが当たり前になってしまうものかもしれません。その中で、小さいころからの教えを守り「まじめ」に生きることはとても尊いこと。それなのに「まじめだね」は、ほめ言葉にならないのはなんでなんだろう。そこには「まじめさ」へのちょっとした嫉妬心もあるのかもしれません。
作者のにいさんはバドミントン漫画『男子バド部に女子が紛れてる〜シークレットバドミントンクラブ〜』を手掛けており、コミック全5巻が販売中です。
画像提供:にいさとる(@nii_satoru)さん
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 読書ばかりで友達がいない 「私は自分勝手」と思い込んでいた妻に逆の解釈伝える夫の漫画に救われる人が続出
夫の言葉で「子供の頃の自分を肯定できるようになった」と奥さん。 - 家事や育児をがんばりすぎて自滅寸前――人に頼れない主婦が夫に「“何もしない日”をもらった話」がホッとする
お母さんにも、休みは必要。 - 「仕事覚えられないの、病気なんじゃないの?」上司のススメで受診したら ある意味ホラーな実体験漫画
おかしいのは、あなたじゃないかもしれない。 - 友達と話すのも好きだけど…… 1人でいる時間にエネルギーを充電する「内向型人間」について説明した漫画がわかりやすい
人と活動するのが好きな「外向型人間」の理解にも。 - 「死ぬくらいなら辞める」ができない理由 過労自殺を描いた生々しいマンガに共感の声集まる
狭まっていく視界と思考、苦しくなっていく呼吸……もう、「辞める」の選択肢は見えない。