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VTuber事務所に声優がデビューを巡り抗議漫画 事務所は「事実と異なる」「法的措置を慎重に検討」

VTuberデビューが相次ぐ中で、大きな注目を集めています。

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 2018年春から約半年で登録者が5倍に増えるなど、急速に拡大しているバーチャルYouTuber(VTuber)業界。ある声優がVTuberのデビューを巡って人気企業からずさんな対応を受けたことを告発する漫画が、Twitterで物議を醸しています。

 アップランドは11月22日、漫画に対し「当社に対する言及と判断される」として見解を発表。当事者に不安を与えてしまったことを謝罪しつつも、告発内容には事実と異なる箇所が含まれており、「著しく企業イメージが傷つけられた」として投稿者に法的措置を慎重に検討していることを報告しました。



「声優2人に実際に起こった出来事を漫画にしました」

 漫画は2018年11月に開設したばかりのアカウント「実話やぞ読んでくれ」(@higaisya0000)さんが19日に投稿。「とある人気企業のVtuberに決まっていた声優2人に実際に起こった出来事を漫画にしました」「彼女たちと同じ被害にあう方が出ないように」と経緯を漫画で紹介します。

 無名の声優・ピパ美は5月に人気企業のオーディションでVTuberとしてのデビューが決まり、打ち合わせを重ねていました。2人組でデビューをさせたいという企業の意向で仲の良い声優・ぽぺ子を誘い、7月初旬に担当者と会ったところ、夏休みごろに2人でVTuberデビューし、軌道に乗ったら今の声優事務所を辞めてもらうと説明を受けます。

 しかし8月中旬の打ち合わせで、9月にデビューするので今の事務所を辞めるよう迫られます。早期の契約を申し出たところ「2人で決定しているので安心してください」と先送りにされながら、今の事務所を辞めることに。今後を考え仕事を断ったりしていましたが、そこから1カ月連絡が無く進捗を聞いても無視されてしまう日々が続いたそうです。

 9月末には「2人の希望額に沿うため」と他の仕事についてやり取りが続きますが、肝心なVTuberデビューの話は動きません。10月下旬にVTuberだけの仕事でいいから早くやらせてほしいと相談すると、「まだ契約していなからお互いフラットな関係だし」「他社のVTuberオーディション受けていいよ」と、デビューの話がなかったかのような対応をとられます。はっきりした意向を聞かせてほしいとメールで送りましたが、10日後に同企業はVtuberの公開オーディションを開始。自分たちで決まっていると言っていたキャラクターと関わりがあるのか再度尋ねましたが、その後連絡はないままだったといいます。

 漫画の中で企業は「ゲップランド」「四天王クロの会社」と説明されており、VTuberファンなら誰もがアップランドの話だと推測することができました。ツイートは2万8000回以上リツイートされるなど話題となり、「こりゃ契約不履行でしょ」「人と仕事をなんだと思ってるんだ」と企業を批判する声の一方で、「鵜呑みにできない」「相手はアップランドを騙る偽物なのでは?」「公式発表があるまで中立という立場でいたい」とアップランドからの発表を求める声が相次いで寄せられました。

アップランド「事実と異なる」

 11月21日にアップランドのVTuber事務所「.LIVE」の公式Twitterが、22日にアップランド公式サイトが漫画について見解を発表。所属VTuberのファンや関係者、そして当事者にも「ご不安を感じさせてしまった」と謝罪しつつ、漫画には事実誤認があることを説明しました。

 まずアップランド側は当初から2人に、正式な契約締結がなされていない段階では所属事務所を辞める必要はない旨を再三伝えていたとのこと。漫画のポプ子に当たる声優・Aさんが事務所を離れたのも「信頼しているマネージャーが辞めることになったから」と報告を受けたといいます。

 また「はっきりした意向」を求めるメールを受けた後、Aさんには11月13日にダイレクトメッセージで2人にはVTuberとして活動してほしい旨を送信していたとのこと。同日中にAさんからは希望条件の返信をもらったことを、メッセージのスクリーンショットを添えて報告しています。

VTuber アップランド 声優 漫画 Twitter アップランドが公式サイトでDMのやりとりを公表

 VTuberのリリース時期の9月については「できるだけ早く出したい」程度で確定していたわけではなかったものの、想像以上にのびてしまっていた点、さらに仕事の一部を調整してくれたにもかかわらず条件合意まで時間がかかっている点、連絡の窓口をAさんのみにしてしまっていた点を踏まえ、「2人を不安にさせてしまった」と省みました。

 しかし「すでに謝罪もしていて、さらにその後双方が納得いく条件を望むことを承知したにも関わらず、明らかに悪意がある漫画が何者かによって描かれ拡散されたことに憤りを感じております」と遺憾の意を表明。ツイートの事実と異なる箇所から「著しく企業イメージが傷つけられた」とし、投稿者に法的措置を慎重に検討していると発表しました。

 Twitterでは両者の主張を受け、「企業側の主張内容の方が誠実的かつ現実的な印象を受け、説得力がありました」「会話のすれ違い等必ずあるのでその為にすり合わせを行うのであって怠慢してるのは企業側に感じられる(私見)」「一刻も早く解決できると良いのですが」などさまざまな声があがっています。

 ねとらぼ編集部では漫画を投稿した「実話やぞ読んでくれ」さんとアップランドに取材を打診中です。

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